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じんラボリサーチ

【第7回】将来、認知症になるかもしれない…、
透析患者の96.8%が抱える「終末期」への不安

2017.9.25

文:じんラボスタッフ

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実施概要

調査目的

第56回および第57回(2011・2012年)の日本透析医学会学術集会・総会では、終末期患者に対する透析導入の見合わせについての議論を進めることに対し賛同が集まりました。
日本透析医学会は最終的に提言をまとめるために、2013年1月に「慢性血液透析療法の導入と終末期患者に対する見合わせに関する提言(案)」を公開しました。

透析導入に限らず、終末期医療のあり方は大きく変わりつつあります。本人の意思が明らかな場合は、透析の導入および継続の見合わせに患者の意思が尊重されるようになってきました。
そこで、透析患者自身は「終末期」についてどのように捉え、考えているのか意識調査を行いました。

調査方法WEBアンケート
調査エリア全国
調査対象透析患者 男女年齢不問
調査期間2016年12月2日(金)〜12月9日(金)
有効回答数93名

調査対象詳細

性別
男性 53 57.0%
女性 40 43.0%
年代
〜30代 7 7.5%
40代 32 34.5%
50代 31 33.3%
60代 19 20.4%
70代 3 3.2%
80代〜 1 1.1%
透析歴
1年未満 6 6.5%
1〜2年 12 12.9%
3〜5年 18 19.3%
6〜10年 23 24.7%
11〜20年 19 20.4%
21〜30年 9 9.7%
31年以上 6 6.5%

「終末期」という言葉に今のところ公的で明確な定義はなく、一般的には「病気が治る可能性がなく、数週間〜6ヶ月程度のうちに死を迎えるだろうと予期される状態になった時期」を言います。
透析患者の場合、週3回、1回4〜5時間程度の透析療法が生命維持のために不可欠なことから、ここでは認知症や合併症などで判断能力が欠かれ、治療に対する意思表示が出来なくなった状態のことを「終末期」と定義します。

(Q1)自分が将来、認知症や合併症によって治療に対する意思表示が出来なくなることを考えたことはありますか(n=93)

1 よく考える 17 (18.3%))
2 時々考えることがある 58 (62.4%)
3 あまり考えない 15 (16.1%)
4 まったく考えない 3 (3.2%)

「よく考える」「時々考えることがある」が80.7%、考える頻度は低いものの「あまり考えない」を含めると実に96.8%が、将来自分が意思表示出来なくなる可能性を考えている結果となりました。

厚生労働省は2015年1月「認知症施策推進総合戦略〜認知症高齢者等にやさしい地域づくりに向けて〜(新オレンジプラン)」を発表しました。この中で日本における認知症の人数は2012年の時点で約462万人(65歳以上の高齢者の約7人に1人)と推計されており、2025年には700万人前後、65歳以上の高齢者の約5人に1人に上昇する見込みです。

日本透析医学会「わが国の慢性透析療法の現況 (2015年12月末)」によると、国内の透析患者数は約32万5千人、うち65歳以上の患者数は65.1%を占めます。30年前の1984年の平均年齢は49.2歳でしたが、2015年は67.9歳と年々高齢化が進んでいます。

透析歴が長くなると合併症の発症リスクは高まり、加齢に伴い認知症のリスクは増します。高齢患者には他人事ではないでしょう。透析患者の治療に対する意思表示への不安は、患者の高齢化の表れと言えるのではないでしょうか。

(Q2)将来、意思表示が出来なくなることを想像した後、考えることは何ですか(n=93)

1 判断能力のある今のうちに自分でしっかり考えておこう 53 (57.0%)
2 まだ大丈夫、そのうち考えよう 16 (17.2%)
3 誰かに(家族や主治医など)相談してみよう 15 (16.1%)
4 想像したことがないので分からない 5 (5.4%)
5 自分が意思表示が出来なくなるなんて考えたくない 4 (4.3%)

「判断能力のある今のうちに自分でしっかり考えておこう」「家族や主治医などに相談してみよう」など、積極的に向き合おうとする回答は73.1%でした。

(Q3)あなたの周りには終末期について考える環境はありますか(n=93:複数回答、回答数98)

1 考える環境は特にない 68
2 主治医との面談がある 8
3 医療スタッフ(主治医以外)との面談がある 8
4 ポスターや冊子など終末期に関する資料が目に付くところにある 5
5 患者会でセミナーや相談会がある 2
6 行政機関でセミナーや相談会がある 1
7 通院施設でセミナーや相談会がある 0
8 その他 6

(Q4)終末期について考え、何か行動を起こしたことはありますか(n=93:複数回答、回答数110)

1 何もしていない 41
2 家族と話し合った 36
3 医療スタッフ(主治医以外)に相談した 8
4 患者仲間や友人に相談した 7
5 事前指示書に記入した 6
6 主治医に相談した 5
7 セミナーや講演会に参加した 4
8 その他 3

(Q5)どんな環境や状態であれば、終末期について考えてみようと思いますか(n=93:複数回答、回答数209)

1 病状が悪化したら 52
2 物忘れが激しいなど、意思表示が出来なくなることの現実味を帯びてきたら 36
3 一定の年齢に達したら 34
4 家族構成が変わったら(子供が出来た、親が亡くなった、一人暮らしになった等) 19
5 終末期に関する分かりやすい資料があれば 18
6 家族に促されたり、家族が不安に感じていることを悟ったら 16
7 主治医に考えるよう促されたら 11
8 セミナーや相談会があったら 10
9 退職したら 6
10 患者仲間から勧められたら 1
11 どんな環境や状態でも考えたくない 0
12 該当する項目はない 6

病状や年齢、そして認知症への危機感など自身の状態が終末期について考える大きなきっかけとなるようです。「どんな環境や状態でも考えたくない」と回答した方は0%でした。

(Q6)本アンケートに回答したことをキッカケに、終末期について考えてみようと思いましたか(n=93)

1 考えようと思った 47 (50.5%)
2 やや思った 40 (43.0%)
3 あまり思わなかった 5 (5.4%)
4 全く思わなかった 1 (1.1%)

「考えようと思った」「やや思った」と回答した方は93.5%にもおよび、タイミングは違っても透析患者はどこかで自分の終末期に向き合うことの必要性を感じていることが分かります。


最期まで自分らしく生きる選択

本アンケート内で「あなたの周りには終末期について考える環境はありますか」との問いに、7割以上の方が「考える環境は特にない」との回答でした。
そんな中でも2001年から「尊厳生(そんげんい)」という考え方を提唱している医療者がいます。
じんぞう病治療研究会外部サイトへ」の代表世話人で日大板橋病院准教授の岡田一義さんは、死の迎え方の選択の尊厳死と違い、「尊厳生」は最期の生き方の選択であり、終末期医療の中でも最期まで尊厳を持って「生きる」ことの大切さを唱えています。

じんぞう病治療研究会では毎年1月1日を「Japan Decision Day」とし、すべての国民が家族と自己決定についても話し合う日になることを願っています。

「死に方」を決めておくのではなく、「その時までいかに自分らしい生き方をするか」。

人としての尊厳、そして残される家族のためにも、最期まで自分らしく生きる選択を今のうちにしっかり考え、家族と話し合う機会にしてみてはいかがでしょうか。

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