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透析患者さんにとって大切な心臓のはなし
【第2回】次に、心臓で苦しまないために。

2015.11.30

文:朝田一生

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渋谷の片隅で内科医をしている朝田と申します。

第1回では「まずは、心臓を知るために。」と題し「①自分の心臓は大丈夫かどうか知りたい」についてお話ししました。

今回は 「②どうすれば心臓を悪くしないですむのか、悪くなったらどうすれば良いのかを知りたい。」 についてお話しさせていただきます。


まずどうすれば心臓を悪くしないですむのか、つまり心疾患の予防策についてです。
極論すると次の2点になると思われます。

1つ目は透析に関わらず万人に言えることです。
つまり生活環境を整え、バランスの良い食事を摂取し、適度な運動を行うこと。できれば口腔内・身体の清潔を無理のない範囲で整えること。

2つ目は透析に関連して、適切な条件で十分な透析を行うこと。

どちらも大事です。イマイチ透析を知らなかった過去の自分に「どちらが大事だと思う? 」と聞いたら、私は迷いなく「1つ目! 」と答えていたと思います。自分の身は自分で守るのが基本だと考えていました。
今はどちらも大事で「透析は患者・医療者どちらか片方だけが頑張っても良い結果にはならない」ということが何となくわかってきました。

正直これで終わっても良いくらいではありますが…。

自己管理がしっかりしていても透析が足りなければいずれ限界が来て、透析心アミロイドーシスや高血圧性心肥大をはじめとした心筋症になってしまいます。逆に、例えば毎日透析を長時間したとしても自己管理が悪ければ(言ってみれば腎臓が正常で透析をしていなかったとしても)糖尿病や高脂血症、高血圧から狭心症や心筋梗塞といった病気になってしまいます。

具体的にどうすればよいのか?
細かい食事のことや運動量などは成書(医師などが書かれた専門書)がありますので、今回は特に注意すべきことを何点かお話させていただきます。


食事について

よく誤解されてしまうのですが、きっちりと制限して何でもかんでも食べるなということでは全くありません。確かに制限は必要ですが、本当は食べる量が少なく栄養が足りないことが良くないのです。食事は人間にとって重要かつ不可欠な行為です。しっかり食事を摂るようにしましょう。

ここに誤解が生じると「頑張ったのに良い結果にならない」という悲惨な状況が発生してしまうと思います。
大事なことは摂取した栄養と透析のバランスが取れていないこと、になると思います。
従って、ここで一番重要なことは「何をどのくらい食べているか担当医にキチンと伝えられていること、担当医がそれを元に適切な透析量を設定していること」になります。食べたら食べた分だけ透析しましょう。キチンと食べて、食べたら透析を。

ただし幾つかの要素については制限が必要なようです。人にもよりますが、毎日透析したとしても(在宅血液透析の経験を踏まえて)塩分とリンについては摂取限界量がありました。塩分とリンに配慮した食事(毎日透析することが可能であれば、かなり制限は緩くなりはしますが)および内服薬の調整が必要です(この辺りはそれこそ成書に譲ろうかと思います)。

繰り返しになりますが一番大事なことは、医療スタッフと食事についての情報が共有できており、それに基づいた透析が行われていることです。

透析を受ける方:
食事内容を把握し医療スタッフに伝えること、塩分やリンはきちんと制限すること
透析を行う方:
あくまで採血などのデータに頼りきりになるのではなく「今回リンが高かったから、気をつけましょうね!」と言うのではなく、何が原因でリンの多い食事を取ることになったのか、もしくはリンの排泄が困難な状況(例えば便秘)になってしまったのか、透析を受ける方の生活状況を把握し、必要十分な透析を行うことが大切だと思います。

心臓の話をしているのか、一般的に透析で大事なことの話をしているのか判別しにくくなってきましたが、食事と透析について大切なことは上記になると考えております。


生活環境について

あまり意識されていませんが、虫歯の予防が感染性心内膜炎の予防に、下肢(足)の清潔を保つことが下肢の血流を保ち感染や潰瘍形成の予防になります。またホコリやダニなどが肺の機能を落とすこともあり、清潔に保つことはかなり重要な位置を占めてきます。注意を払うようにしてみてください。


運動について

どうやら毎日の継続が大事なようです。無理のない範囲で、ただし毎日小時間でも行なうと良いようです。

さて、上記のことを守っていると心臓は悪くならないのか?

いえ、そんなことはありません。生活習慣が悪くない方が突然心臓弁膜症や心筋症になってしまうことは、ある程度の確率で経験します。完全に心臓病を予防することは現在の医療ではかなり難しくなっています。

そこで実際に心臓病になってしまったらどうすれば良いかですが、その治療方法は病気により異なります。

虚血性心疾患

(きょけつせいしんしっかん:冠動脈が動脈硬化などの原因で狭くなったり、閉塞したりして心筋に血液が行かなくなること(心筋虚血)で起こる疾患)

まずは内服調整、次にカテーテルないしバイパス移植術による血行再建術になります。比較的敷居の下がってきた分野ですがカテーテルにもバイパスにもいくつかの方法があり、どれを選ぶかが重要になってきます。そもそもいくつかの選択肢については挙げることすらできない施設・医師もおり注意が必要です。

弁膜症

(べんまくしょう:心臓にある4つの弁の内、いくつかが機能障害を起こす疾患)

もちろん薬の調節は必要ですが引き延ばしすぎることも良くありません。心臓の筋肉が疲れてしまう前に手術をすべきかと思います。これが難しい問題で、介入のタイミングを間違えないことが非常に重要になります。
現在は手術方法も色々あり、ベストな治療法は限られた場所でしかできない現状があります。治療法を知っているか、知らないかという問題もあり、(前回と同じ結論で申し訳ありませんが)信頼できる医療スタッフを選ぶことが重要になってしまいます。

心筋症

(狭心症や心筋梗塞などを発症する心筋疾患の総称)

原因次第ですが透析不足によるものが一番解決しやすいです。心筋症になってしまうようであれば、まずは透析不足の解消を。それで改善しないようであれば薬剤やさらに複雑な治療の出番になってきますが、その先はかなり厳しい状況になることもあります。この分野の専門家は特に数が少なく適切な治療の選択は心臓の医師にとってみても難しいものであります。

不整脈

正直なところあまり原因がはっきりしないことが多い分野になります。薬物が無効なことも多く、近年はカテーテルによる頻脈性不整脈(心拍数が増加している不整脈)の治療も取り入れられています。脈が遅い不整脈に関してはペースメーカのみが有効な治療法となりますが、最近は「リード」と呼ばれる電線が不要なタイプも現れており、今はまだ難しいですが将来的にはかなり治療の選択肢が増えることになると思われます。


これらの心臓病に共通して大事なことは治療介入のタイミングを間違えないこと、および治療法の選択を間違えないことになります。そのために重要な事は自分が上記の内どの分野の病気になっているかを知り、その分野の専門家である医師を選ぶことが大事です。心臓の医師も細分化しており不整脈の医師は全然虚血性心疾患についての治療を知らない、などといった場合もありますのでご注意ください。

毎回ほぼおなじ結論で申し訳ありませんが、以上が「②どうすれば心臓を悪くしないですむのか、悪くなったらどうすれば良いのかを知りたい」についての私なりの考えであります。

次回は 「③透析をしていると、どんな心臓病になるのかを知りたい」についてお話させていただけたら、と思います。

それでは次回「透析の循環器合併症で危険なものは何?」でお会いしましょう。

朝田一生

朝田一生

渋谷笹塚循環器HDクリニック院長。
出身地は神奈川県、小学校4年生の時に山梨県へ転居。東京大学に何故か合格し東京へ。以後現在まで東京に在住。
学生時代の恩師に薫陶を受け、ひたすら不整脈診療に従事する日々を送っていましたが、大学に戻って以降さまざまな疾患の診療に従事することに。
「不整脈が好きというよりは、人を診るのが好きなのかもしれない」と思い直し開業、現在に至る。
夢は何でも診られる医師になること。
最終的にどうなっていくかは不明瞭ですが、いつかは内科・整形外科・外科など多分野に精通したDr.コトーになってみたいなぁという思いもございます。
器用貧乏になってしまいそうな予感も…。
渋谷笹塚循環器HDクリニック

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