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理学療法士ゆうぼーの じんラボ運動療法講座 第19回
透析における痙攣(つり)について

2017.9.11

文:ゆうぼー

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透析患者さんの中で、透析中や透析終了後などに足が痙攣(つった)した経験がある方はいませんか?
あるいは、周りで透析中に足が痙攣して痛がっている方や、透析終了後に足がしびれて動作がしづらくなっている方を見たことはありますか?
これは、透析患者さん全員にみられる症状ではありませんが、体重のコントロールが悪かったり、身体の大きな方に多くみられます。
特に、透析が2日間あいた後の透析日では体重の増え幅が大きくなりがちなので、足がつってしまう方を見る機会が多くあります。


痙攣(つり)について

痙攣を起こすと、筋肉の緊張が高まったまま硬直してしまう状態になります。また、突っ張った状態が続くと激しい痛みを伴う場合も多くあります。
つる部位はふくらはぎから足首にかけて最も多くみられますが、他にも足の趾(ゆび)や腱、手などにも症状が出る場合があります。


痙攣する(つる)原因について

この症状が現れる原因の多くは、血圧低下といわれていますが、血圧が正常な場合でもつる場合があります。
他にも、以下に挙げるようなさまざまな原因があります。


血圧低下

血圧が低下すると、筋組織が低酸素状態になってしまうので、筋肉に必要な栄養素が届きづらくなって、つる原因となります。

 

体重のコントロール

透析間の体重増加の許容範囲は、一般的に透析間が中1日でドライウェイトの3%、中2日で6%未満が望ましいとされています(但し、透析を受けるさまざまな条件や、病態など個人差があるため、許容範囲はそれぞれ異なります)。
この範囲を超えてしまうと、透析療法に影響が及び、除水や血流量などが上昇し透析条件が変わります。透析中の急速あるいは過度な除水により、筋肉内の血流が低下してしまうことで、血液循環不全や低酸素血症などが生じ、足がつる原因となることがあります。

 

ドライウェイト設定

設定が低すぎると脱水状態に陥り、十分な栄養素の運搬が出来ずに足のつりを誘発することがあります。


L-カルニチンの欠乏

L-カルニチンは、体内で生成されるアミノ酸であり、筋肉を動かすためのエネルギーを全般的に生み出しています。透析患者さんは透析療法によってL-カルニチンが除去されてしまっていることや、食事制限によりL-カルニチンを含有している食品(肉の赤身や牛乳、トマトなど)を摂取していないことによりL-カルニチンが欠乏状態にあることが多いです。
これにより、痙攣が発生することも多くなっています。

 

電解質のバランス不均衡

透析療法における除水は、水だけでなく筋肉の細胞内外にある電解質(ナトリウムやカリウム、カルシウム、マグネシウム、クロールなど)も取り除いてしまいます。これによる電解質のバランスが不均衡状態になると、神経伝達や筋収縮がしづらくなってしまうため、つることがあります。

 

不動による血流不全

血管の壁が厚くて弾力性に富んでいる動脈は、心臓の収縮により送り出された血液の圧力で血液を送っています。これに対して静脈は血液を運搬する力がほとんどないので、筋肉が収縮-弛緩することでポンプのような役割を果たして血液を押し上げます。透析中は長時間寝たまま、あるいは座った姿勢のままのことが多いため、不動による血流不全状態に陥ることがあります。これにより筋組織への血流も乏しくなり、つることもあります。

 

足の冷え、温度のコントロール

透析中に足の末梢部に冷えを感じる方も少なくありません。手足の末梢部が冷たく感じるのは、皮膚の血管が収縮することにより血行が悪くなって皮膚まで運搬される血液が少なくなることが原因の場合が多いです。身体の温度が下がってくると、皮膚表面から体温が奪われないように血管が縮みます。逆に、温度が上がってくると皮膚から熱を発散するために血管が拡張されます。このような血管の伸縮コントロールを調節しているのが自律神経です。よって、自律神経に問題があると手足の末梢部に冷えを感じることがあります。
また、下肢末梢部に持続的な冷感が生じるとしびれや痛みが生じる場合があります。これは温度覚と痛覚が同じ神経伝導路を辿って脳へ情報として送られることが原因として考えられます。


末梢動脈疾患

末梢動脈疾患のある患者さんは、虚血状態になりやすいので透析中に痙攣が誘発されることが多くなっています。


予防策

このように、下肢の痙攣にはさまざまな原因がありますが、ドライウェイトの設定や体重コントロールを整えることが原則となります。
薬物療法としては、芍薬甘草湯やカルニチン製剤での予防が推奨されています。 他の予防策としては、痙攣が発症しやすい部位の筋肉の伸縮性を保っておく必要があります。伸縮性を失った筋肉は血流不全に陥りやすいので、日頃から適度な運動療法を実施して筋肉の伸縮性を保つよう努め、透析中もこまめに筋収縮を促すようにすると、痙攣の予防となるでしょう。

※個別の返信は行っておりません。

参考

  • 日本透析医学会 ドライウェイトの設定 日本透析医学会雑誌46巻7号 (2013/8)
  • 日本理学療法士学会 慢性腎臓病(chronic kidney disease:CKD)に対する 運動療法の最前線 理学療法学第44巻第2号 158-165頁 (2017/4)
  • 大坪みはる編著『新人スタッフのための透析講座Q&A110』メディカ出版 (2015/6)
  • 小澤潔著・萩原千鶴子編集『はじめての透析看護:カラービジュアルで見てわかる!』メディカ出版 (2013/4/29)
  • 下村登規夫・大嶋崇文・山下達也著『見逃してはならない カルニチン補充療法 チェックポイント』 株式会社医学と看護社 (2014/10)
ゆうぼー

ゆうぼー
本名:舘野雄貴
茨城県古河市出身、東京都世田谷区在住。杏林大学卒業。
趣味:空手、読書。
略歴:児童養護施設・総合病院・老人保健施設を渡り、現在は医療法人社団麗星会 品川・五反田ガーデンクリニックの理学療法科長として、透析患者さんへのリハビリを行っています。

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