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理学療法士ゆうぼーの じんラボ運動療法講座 第9回

2014.10.23

文:ゆうぼー

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前回は腰痛症についてでしたが、今回は膝関節周囲に起きやすい変形や諸症状について説明しながら「膝にやさしい運動療法と安全な生活方法」についてお話したいと思います。

イメージ

膝関節は、加齢に伴いO脚やX脚といった変形性膝関節症になることや軟骨がすり減ってしまうこと等により、痛みや腫脹(しゅちょう:腫れ上がること)といった症状が出ることが非常に多いです。
特に腎不全患者様は、アミロイドによる骨棘形成(こつきょくけいせい:骨の一部が棘状に突出する)や異所性石灰化を併発することがあるため、なおさら変形や痛みを増悪してしまうリスクがあります。
関節の変形や骨棘形成については、レントゲン撮影をして医師による診断を受けなければ判別できません。
ただし、膝を真っ直ぐに伸ばして膝の内側と内果(内側のくるぶし)がくっつかなかったり、離れすぎてしまったりする場合は、変形の疑いがあると考えて良いでしょう。

まず、膝関節の構造について説明します。


膝関節の解剖(構造)

膝関節の構造

膝関節は大腿骨(だいたいこつ)・脛骨(けいこつ)によって構成されています。この上に膝のお皿(膝蓋骨)がのっており、この膝蓋骨(しつがいこつ)の上を抑えつけるように大腿四頭筋(だいたいしとうきん)という筋肉の腱が通り、関節を保護しています。この大腿四頭筋が弱ってしまうと、膝関節の保護作用も弱まり、変形を増悪させてしまいます。
よって、以下に紹介する大腿四頭筋の運動療法を実施する必要があります。


膝関節痛予防の運動療法


膝関節伸展運動

1. 良肢位(りょうしい:日常動作において不自由の少ない関節等の角度)を保つため背もたれがある椅子が望ましいです。

良肢位

2. 写真のようにできるだけ高く膝を伸ばしましょう。

できるだけ高く膝を伸ばしましょう。

3. この運動を左右交互に両足で20〜30回程度行ってください。

左右交互に両足で20〜30回程度


外・内転運動

1. 横向きに寝てください。

横向きに寝てください。

2. 写真のように足を上に向かって上げてください。上げたまま10秒間程度止めて、下ろすという運動を20〜30回程度行ってください。

足を上に向かって、上げてください。

※既に膝や腰に痛みがある方は行わないでください。この運動により痛みが生じた場合は、坐骨神経痛や脊柱管狭窄症などを発症している可能性がありますので、中止して医師にご相談ください。


主動筋と拮抗筋について

筋肉の動きは主動筋と拮抗筋相互の働きによって可能となります。
例えば膝を伸ばす時には、主動筋として大腿四頭筋が働き、拮抗筋としてハムストリングス(太ももの裏)が作用します。 
この作用により、バランス良く力を発揮することが可能となります。
このバランスが崩れてしまうと、変形や痛みの悪化を招きます。適度に運動をすることで悪化を予防しましょう。


杖使用のススメ

みなさんは「杖」に対してどんなイメージを持たれるでしょうか?
「足が弱ってしまった方がしっかり歩くために、3本めの足として用いる」
「ご高齢の方が使うものである」
…などのイメージを持つ方が多くいらっしゃるかと思います。

私がリハビリを担当した患者様の中で、膝や腰が悪く歩行が不安定な何名かの方に杖使用をおススメしましたが「まだ必要ない。」「年寄り扱いされたくない。」といった応えが多く、自ら積極的に杖を持つという方はほとんどいませんでした。患者様の杖の利用目的は、転倒して骨折や怪我をした際に痛みをかばったり歩行の安定化を図るためです。他人の目線を気にしたり自分が杖を持つことで「老い」を感じてしまったりするよりも、杖の必要性が上回ったときに、ようやく杖を持つことを決心する方が多いようです。
しかし「転ばぬ先の杖」という言葉があるように、杖は転倒防止や身体への負担を避けるためにあります。よって「転んでから持つ」よりは「転ぶ前に持つ」方が、杖の有用性を大いに活かすことができます。


杖の長さ

杖の適正な長さは個人によって異なります。身長や障がいの有無(麻痺や骨折など)、また姿勢によっても異なってきます。
麻痺や骨折の既往がなく、姿勢不良もない方が杖を持つとしたら、下の写真のように肘関節が30〜40度曲がった状態で持つことが推奨されます。

杖

杖

杖

肘関節が伸びすぎていたり、曲げすぎていたりすると腕の力が発揮しづらくなります。そうすると適切な腕の力が杖に伝達できず、かえって杖があることでバランスが悪くなってしまいます。


杖の長さ杖を使用した歩き方

麻痺や骨折の既往がなく足の筋力が弱っている方

※注意:杖の使用方法や持ち方は既往歴によって異なります。

1. 写真のように足を振り出す前にまず杖を出します。杖を出す位置は、足の斜め前45度に出します。出す幅は自分の足を出す一歩の半分程度が良いでしょう。

1

2. 次に、杖を持っている方と反対側の足を出します。

2

3. 杖と反対側の足を出したら杖側の足を出します。その後1. に戻ります。

3

歩く際に気を付けるべき点は、杖の持ち方や出す順番だけでなく「歩幅」も重要です。広すぎても狭すぎても足に負担がかかりますし、何より安定性を欠きます。
歩幅が広い場合は片足になる時間が長くなる上、重心の移動が大きくなるのでバランスが悪くなります。
逆に歩幅が狭い場合は足が地面から離れずに、小刻み歩行やずり足歩行になるので、つまずきやひっかかりが多くなります。
正常な歩幅は30〜40cmほどと言われていますが、歩いていて足底がしっかりと地面から離れ、ドスドスと歩かないようにバランス良く歩けていれば良いでしょう。


支持基底面(しじきていめん:身体を支えるための基礎となる底面のこと)

杖接地面と足底支持基底面:杖接地面と足底

円背姿勢姿勢と重心:円背姿勢

バランスの良い姿勢においては、重心が支持基底面の真ん中にあります。
背中が丸くなってしまった円背姿勢では、腰が曲がり頭部が前方へ傾いてしまうので、重心が前にいきバランスが悪くなります。
また片麻痺の患者様は麻痺側の足に体重を乗せることが難しくなるので、左右のバランスが悪くなります。
このように個々の姿勢によって重心の位置も変わります。
杖を使用することでできる限り重心を中心に置くことで、バランスの良い姿勢を保つことが可能になります。


杖を使用することのメリット

  • バランスの良い姿勢を保つことができる
  • 歩行や動作時における膝や腰への負担を軽減できる
  • 転倒予防になる
  • 周囲の人も足が弱っていることが理解できる

杖を持ちたくない理由として、見た目の問題を挙げる方は非常に多くいらっしゃいます。しかし周囲の人の視点に立つと、杖を持つ方に対して愛護的な意識が生まれると思われるため、周囲の人へのサインとして考えてみても良いと思います。

※個別の返信は行っておりません。

ゆうぼー

ゆうぼー
本名:舘野雄貴
茨城県古河市出身、東京都世田谷区在住。杏林大学卒業。
趣味:空手、読書。
略歴:児童養護施設・総合病院・老人保健施設を渡り、現在は医療法人社団麗星会 品川・五反田ガーデンクリニックの理学療法科長として、透析患者さんへのリハビリを行っています。

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