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自分の「足」で歩くことの幸せ〜
足病変とフットケアについて
【第1回】「足」について考える

2013.10.11

文:カオリ
協力:べテル南新宿診療所

緑の文字の用語をクリックすると用語解説ページに移動するよ。

みなさんは「足」について考えたことはありますか?
もし自分の「足」で歩けなくなってしまったら、と想像したことはあるでしょうか?

イメージ

ちょっとした傷や軽い痛み程度では放置されがちな「足」ですが、
実は、重篤化するとQOL(生活の質)を脅かすとても怖い病変になりかねないのです。

大切な「足」を守り、前向きにやりがい・生きがいをもって生活するために、
これから数回にわたり、「足」について考えていきます。


足病変とは

足の病気や障害のことです。
爪や皮膚の白癬症(水虫)、巻き爪、胼胝(タコ)、鶏眼(ウオノメ)など皮膚科の疾患から、動脈硬化が原因で起こる「末梢動脈疾患(PAD)」、さらに血流障害や神経障害が進むと軽度の外傷でも傷が治りにくく、「潰瘍(かいよう)、壊疽(えそ)」の原因になります。
また、関節リウマチ、足や関節の変形、外反母趾や扁平足等も含まれます。

タコ、ウオノメ等

靴があっていない、歩き方にくせがあるといった場合にできやすくなります。

タコ、ウオノメ等

末梢動脈疾患(PAD)

日本における保険適応上の疾患名は「閉塞性動脈硬化症(Arteriosclerosis Obliterans;ASO)」または「慢性動脈閉塞症」と呼ばれている疾患です。
主に手足の動脈を「末梢動脈」と言います。この末梢動脈が狭くなったり、詰まったりして動脈硬化症が生じると、手足に血行不良が起こり末梢動脈疾患(PAD)と呼ばれる病気になります。しびれや痛み、悪化すると潰瘍や組織欠損が生じ、放置すると足の切断にまで発展する恐れがあります。その症状はその状態や度合いによって下記のように分類されています。

<フォンテイン分類>
Ⅰ度 足の冷感、しびれや色調の変化(蒼白)
Ⅱ度 少し歩くと痛くなるが休むと回復しまた歩ける(間欠性跛行)
Ⅲ度 何もしていなくても痛みが起こる(安静時疼痛)、足先の色が悪い
Ⅳ度 足の傷が治りにくい、ただれている、腐って黒く変色している(潰瘍、壊疽、組織欠損)

Ⅳ度の状態を「重症下肢虚血(CLI)」といい、適切な治療を施さないとやがて足の切断をしなければなりません。

潰瘍(かいよう)、壊疽(えそ)

潰瘍は、外傷やタコ、ウオノメが悪化して穴が開く等、皮膚が欠損した状態を指し、感染を合併すると周囲が赤くなり膿汁(うみ)も出てきます。
壊疽は、皮膚から皮下組織までの細胞が死滅し、濃い紫色や黒色に変色する病気で、血流障害と細菌感染の掛け算で重症化します。

潰瘍(かいよう)、壊疽(えそ)

糖尿病性透析患者さんによくみられる、

  • 知覚神経障害から痛みや温度を感じにくく、傷ややけどに気づかない
  • 運動神経障害から筋肉や腱組織のバランスがくずれ、足の指が曲がってきたり、足全体 の形が変わったりする
  • 自律神経障害から発汗が減少し、皮膚の乾燥・亀裂が発生する

といった症状は、潰瘍や壊疽の発生しやすい条件になりますので、十分な注意が必要です。


透析患者さんはなぜ足病変に注意が必要なのか

透析患者さんは本来石灰化が認められない血管壁、軟部組織、関節周囲などに石灰の沈着を来たし(=異所性石灰化)、動脈硬化になりやすいことはご存じだと思います。
それにより、足の動脈が狭くなったり、詰まったりして血液の流れが悪くなった状態=末梢動脈疾患(PAD)を要因とする足病変を引き起こしやすくなります。

透析患者さんは自覚症状が少なく、症状の進行も早いとされており、突然重症化することもあります。さらに糖尿病性の透析患者さんは動脈硬化に加え、神経障害、感染症などを併発し、より重症化しやすくなります。

「透析患者の足病診療に関する実態調査」(2012年:日本フットケア学会、日本下肢救済・足病学会、全国腎臓病協議会等)によると、調査対象である透析患者さん4,102人の内、末梢動脈疾患(PAD)の疑いがある人は56.9%、末梢動脈疾患(PAD)が重症化した「重症下肢虚血(CLI)」の疑いがある人は16.7%でした

また、血流障害によって手足の壊疽(えそ)になる発生率は一般人口を1とすると非糖尿病の透析患者さんで82.6倍、糖尿病性透析患者さんは481.4倍と極端に跳ね上がり、大変なリスクとなります。

このように、末梢動脈疾患(PAD)になりやすく感染に弱い透析患者さんは、ほんの些細な傷や皮膚の異変から足病変を発症し、重症化して足を切断しなければならなくなるリスクが非常に高いのです。

しかし、こんなにもハイリスクな透析患者さんでも、その実情について「検査、治療内容、治療してくれる診療科、治療後について詳しく知っている」と回答した人は全体の2割弱でした。
また、末梢動脈疾患(PAD)の疑いがある症状を経験しても、医療従事者に相談・受診したことがない人が5割弱もおり、さらに「安静時疼痛」や「潰瘍や壊疽」などの重症化した症状があっても約3割が相談・受診したことがないという結果が出ました。

また医師調査では、足病変ハイリスク患者に対し定期的にフットケアを行っている腎臓内科・糖尿病内科の医師はともに4割という結果でした。

これらから、患者は危険な足病変の教育や訓練を十分に受けていない実情が明らかになりました。

自分の足は自分で守る!

まずは危機意識を持つことから始めましょう。


「足」を守るための「フットケア」

最近よく耳にするようになり、関心を集めている「フットケア」とは、爪を切る、保湿などのスキンケアやマッサージ等の自分で行うケアから、専門的な管理や医師の治療が必要なケアまで、「足の健康を守る」すべてと言えるのではないでしょうか。

「フットケア」の第1歩は「自分の足への意識を高める」ことです。
そして自覚症状が少ないですから、

  • しっかり観察し異変があればそれを素早く発見する
  • 清潔さを保ち、傷やタコやウオノメのような皮膚疾患をきちんと予防する
  • 足に合った靴を選ぶ

等々、まずは自分でもできる「フットケア」から始めてみましょう。 そして、足の痛みが取れない、いつまでも傷が治らない等、些細なことと思う異常でも放置せずすぐに透析スタッフに伝えたり、専門の診療科(足外来、フットケア外来、足専門のクリニック等)を受診し、自分の足のリスク、注意点を知っておくことも足の健康を自分で守る重要な「フットケア」です。

次回は、「あなたの足は大丈夫?」 
足病変の見つけ方〜日常生活における注意点、についてです。

参考

  • 日本フットケア学会、日本下肢救済・足病学会、全国腎臓病協議会等(2012)『透析患者の足病診療に関する実態調査』
カオリ

カオリ
所長のツマであり、宿野部家取り仕切り役。 東京都世田谷区出身。 浅間山荘事件が起こり、ちあきなおみの「喝采」がレコード大賞を取った年に生まれる。 現在は、所長と共に「じんラボ」に取り組む毎日。 ビールと日本酒をこよなく愛し、ストレス発散はカラオケで熱唱。 最大にして最強のミッションは、「じんラボ」をNo.1腎臓病ポータルサイトに育てること! みなさま、どうぞお見知りおきを・・・<(_ _)>。

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