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自分の「足」で歩くことの幸せ〜
足病変とフットケアについて
【第3回】早期発見、早期治療がカギ! 足病変の治療方法

2013.11.21

文:よしいなをき
協力:べテル南新宿診療所

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第2回でご紹介した、傷や障害のできやすいポイントを毎日チェックしたり、日常生活において注意をしていても、透析患者さんの足病変はいきなり重症化することも多いのが特徴です。
さらに糖尿病による神経障害があると痛みや温度を感じにくくなり、傷ややけどに気づかずに壊疽(えそ)が進行している場合があります。
また、異変に気づいても「どうしたらいいかわからない」という方も多くいらっしゃいますが、ちょっとした異常でも放置せず、すぐに透析スタッフに伝えたり、専門の診療科(足外来、フットケア外来、足専門のクリニック等)を受診しましょう。
適切な治療を早期に行えば重症化(最悪の場合「切断」)を防ぐことができます。

今回は、専門の診療科(以下、フットケア外来)ではどんな検査や治療を行っているのかご紹介します。


1. フットケア外来とは

フットケア外来は、主に足病変に対処する専門診療科ですが、患者の症状が重い場合、複数の専門科と共に治療に当たります。それぞれの専門科(整形外科、皮膚科、血管外科、循環器内科、形成外科)とチームを組み、その症状の根本的な原因を探って治療にあたります。例えば、糖尿病による足病変では足切断にいたる危険もあるため、皮膚病変の症状治療、血流障害と神経障害の把握、足の血流の確保、感染症への対応、予防・治療・再発予防用の靴型装具の作製など、非常に多くの科の協力を要します。


2. フットケア外来での検査

フットケア外来での検査には、主に神経障害の検査と血流障害の検査があります。


神経障害の検査

アキレス腱反射の検査

打腱器を使ってアキレス腱反射が起こるかを調べる検査です。神経障害が進行すると反射は無くなってしまいます。

振動覚検査

    音叉という器具を使い、震えを感じられるかを調べる検査です。足の親指か内くるぶしの部分に音叉を当て、震えを感じられるかを調べます。

振動覚検査
モノフィラメント検査

    足の裏を細いナイロンの糸で触り、足の裏の感覚がどの程度あるかを調べます。

モノフィラメント検査
神経伝導速度検査

膝から下の複数箇所に軽い電気刺激を与えて神経の伝導速度を計測します。脚の神経が刺激をどの程度早く伝えられるかを調べる検査です。

CV R-R

心電図による検査ですが、心電図の波の感覚から自律神経障害の進行度を知ることが出来ます。


血液障害の検査

足の動脈拍動のチェック

    足には2つの大きな動脈が流れており、これらは手首と同じように指で脈を感じることが出来ます。血流障害が起こると、これらの脈が弱くなったり、感じられなくなったりするため、その拍動の強さを触って調べます。

足の動脈拍動のチェック
ドップラー検査

    ドップラーという器具で血流の音を聴きます。正常な場合、心臓に合わせた、むち打つような拍動が聴こえますが、異常な場合は弱く低い音が聴こえたり、全く聴こえなかったりします。

ドップラー検査
その他の検査

他には、足の血圧測定(ABI・TBI)、超音波検査、MRI・CTA、血管造影検査などがあります。


3. フットケア外来での治療

手足の動脈である「末梢動脈」が狭くなり、詰まってしまって動脈硬化症が生じると、手足に血行不良が起こり末梢動脈疾患(PAD)と呼ばれる病気になります。しびれや痛みが生じ、放置した場合は足の切断にまで発展します。


ここであげる例では、末梢動脈疾患(PAD)により右第Ⅰ趾の先端に壊死組織が付着しており、足底側に屈筋腱が露出する深い潰瘍出現しています。

<初診時所見>

    右第Ⅰ趾の先端に壊死組織が付着
足底側に屈筋腱が露出

治療に当たる前に経皮的血管形成術(PTA)によるバイパス手術をして血流の改善を図ります。

バイパス手術


PTAでは、足の付け根(そけい部)に局所麻酔を行った後、数ミリ大の穴を開けて、先端にバルーンとよばれる風船のついた細い管(バルーンカテーテル)を挿入します。病変部位まで挿入し、風船をふくらまして狭い血管を拡げます。


血流の改善の処置を行った後、高濃度CO2発泡剤(ASケア:旭化成クラレメディカル株式会社)による足浴を行います。血流障害のために潰瘍や壊疽が生じた糖尿病患者の四肢(主に下肢)を浸す人工炭酸泉浴療法では、血流増加による潰瘍や壊疽の治癒と下肢切断の延期が期待できます。

足浴


水温35 ℃程度の足浴槽水に下肢をいれ、水10リットル当たり1袋(75g)のASケアを投入し、10〜20分程度足浴を行います。これにより除菌および脱臭が行われます。


その後、局所処置として傷口にフィブラストスプレーを噴霧します(左の写真)。壊死した皮膚をおおう新しい肉芽ができるのを助け、また血管の新生を促進させます。 右の写真では、抗菌作用を持つ創傷被覆材を傷口に貼っているところです。

その後、局所処置として傷口にフィブラストスプレーを噴霧します(左の写真)。壊死した皮膚をおおう新しい肉芽ができるのを助け、また血管の新生を促進させます。 下の写真では、抗菌作用を持つ創傷被覆材を傷口に貼っているところです。


さらに高気圧酸素治療(HBO)により血液中の酸素を増やし、浮腫、炎症の軽減を図ります。

高気圧酸素治療


治療後の写真はつぎの通りです。

<治療後の所見>

治療後の所見

治療後の所見

壊死組織はほぼ消失し、新しい肉芽の再生が見られます。親指の潰瘍部分もほぼ露出部分が塞がっています。


このように初期症状の段階で専門のフットケア外来に診てもらうことで、足の壊死の進行を抑え、自分の足で歩くことが可能になります。ですが、これは早期診断を行ったから可能になったケースです。自己診断でしばらく様子をみたりして、医師の診断が遅れ、結果、足切断となるケースも少なくありません。

冒頭にも書きましたが、日々、自分の足の状態をチェックし、何か異常を感じた場合はためらうこと無くフットケア外来のある総合病院などを受診しましょう。

これは糖尿病性腎症の方だけに限った話しではありません。糖尿病を原疾患としない透析患者さんにも足病変のリスクがあることをしっかりと理解しましょう。

次回は、「体験レポート:フットケア外来(べテル南新宿診療所)を受診しました」です。
よしいなをき

よしいなをき
透析歴7年になります。透析はしていますが普段はスポーツ自転車に乗って 体を鍛えています。 仕事は、平凡なサラリーマンですが、透析の時間を利用して、ブログを書いたり、小説を書いたりしています。透析は月、水、金の夜間にしているので、その時間にメッセージや、 コメントなど頂けるとうれしいです。

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