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じんラボ所長室

医療者と患者 共に幸せな透析施設を考える
【第3回】患者編 イベントレポート

2016.4.28

文:所長

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4月の医療者編に続き2015年11月29日に「患者編」を開催し、10名の患者さんにご参加いただきました。 今回は顔見知り同士の参加者が多かったため、とても活発な意見交換が行われました。

Facebookのグループページにはイベントで交わされたすべての意見を掲載しましたが、その数はなんと「57」! それら57件の意見の中から、特に重要だと思う10件をご紹介したいと思います。

※一緒に「医療者と患者 共に幸せになれる透析施設」を考えてくださる方は是非Facebookグループへ。参加希望の方は本文の最後をご参照ください。

  • ちょっとした聞き方や言い方ですれ違う。
  • 医療者側のレッテル貼り=あの人はこういう人だからと決めつけてしまう。そういうことは本人が敏感に感じてしまう。そうすると医療者側もやりづらい、患者本人もイヤ。
  • 慢性疾患の場合は特に、患者中心の医療は患者が円の中心にいるのではなく、チーム医療のステークホルダーの一員として治療をしていくという意識を持つことで、すぐにとは言ないがコミュニケーションが円滑になるのではないかと思う。
  • コミュニケーションは言葉ではなくハートなので、大学の講義等では常に学生の間に人間力を高めてほしいと言っている。コミュニケーションとは、難しいけれど相手を思いやることだと思う。
  • 患者も医療者も一生活者であって家族の一員であり、自分の生活の中でいろいろな悩みがあって辛い中でも透析や仕事をしている。背景はお互い分からないから完全に理解することは難しい。患者は医療者を、医療者は患者を、目の前の人を尊重することを考えていると感情から出てしまう言葉があっても接し方が変わる。常に尊重する気持ちを持つべき。
  • 葬式や結婚式の後に増えてきた人に、気をつけろとか厳しくいう医療者もいるが、そういう時に失敗したことを一番分かっているのは本人。それに追い打ちをかけるようなことを得意げに言う人がいる。70、80の人には少々検査データが悪くても「食べられてよかったね」でいい。
  • 患者にとって幸せな施設は自分の透析をちゃんとやってくれるところ。
  • 患者自身も患者としてのリテラシーを上げるべき。
  • 長時間透析を積極的にやってくれる施設であっても、患者が拒む場合が多い。主治医が患者の目線まで下りて説明をしてくれているか、患者のことを自分ごととして捉えられているかが重要。
  • 患者が幸せで長生きできる施設は医療者にとってもいい施設。
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その中でいくつか印象に残った意見を以下で取り上げますが、前回の医療者編同様、キーとなるのは「コミュニケーション」だということです。

「透析」というカテゴリーに限らず、どこでも誰でも「コミュニケーション」は重要ですが、長い年月に渡り週3回通院し、1回4時間以上滞在する患者と治療を施す医療者の関係においては、余計に「コミュニケーション」が重要だということを今さらながら痛感します。

2. 医療者側のレッテル貼り=あの人はこういう人だからと決めつけてしまう。そういうことは本人が敏感に感じてしまう。そうすると医療者側もやりづらい、患者本人もイヤ。

これは逆もまた然りで、患者も一度または数度も穿刺を失敗した医療者に対して正直「穿刺は別の人がいい」と思ってしまいます。
長い年月関わっていると自然と相手が自分のことをどう思っているのかを感じます。
きっかけがどちらであっても、それは「鏡」のようにお互いが同じような気持ちになるものではないかと思います。


そして、こちらも考えさせられるご意見でした。

9.長時間透析を積極的にやってくれる施設であっても、患者が拒む場合が多い。主治医が患者の目線まで下りて説明をしてくれているか、患者のことを自分ごととして捉えられているかが重要。

いわゆる「医師に対する信頼感」の問題だと考えられます。

「透析をしっかり(長時間等)やりましょう」という治療方針はあっても、なかなか患者は受け入れない。
なぜ受け入れないのか。それはさまざまな理由があると思います。
エビデンス(科学的根拠)と検査結果を並べ立てた説明だけでは患者の心には響かないんですね。
これは透析時間に限ったことではありませんが、医療者が「検査数値=透析患者」に対して話しかけているのか、そこから踏み込んで「一個人」として診察し、さらには自分ごととして捉えて話してくれているのか。
患者は理屈ではなく、こういうことを敏感に感じています。

患者にとって命を預ける「主治医」、その人への思いは強いのです。

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そして最後はこちら。

10.患者が幸せで長生きできる施設は医療者にとってもいい施設。

これは短い文章ですが、真理を言い得ていてハッとさせられます。
結局のところ、患者の幸せは自分の納得した治療をしっかり受けられて元気に暮らし続けることですし、医療者にとっても患者がそのような生活を送り、笑顔でいることがきっと喜びになるのではないかと思うのです。
まさにこの「患者と医療者 共に幸せな透析施設を考える」というテーマそのものというか、一つの正解のような気がしました。

いよいよ次回は「医療者&患者編」で行ったワークショップの模様をレポートします。 どうぞお楽しみに!

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所長

所長
一般社団法人ペイシェントフッド代表理事。社会福祉士。透析歴31年。
14年間勤めた一般企業を退職後、福祉職を経て、2010年9月に株式会社を設立し、2018年4月からは一般社団法人ペイシェントフッドに法人格を変更。
長い年月にわたり「治療を受ける」という「受け身の立場」で医療と関わってきましたが、腎臓病を経て、透析を受ける当事者として、その経験・想いを「腎臓病・透析に関わるすべての人の幸せのために」役立てられないかと一念発起し、起業しました。
「じんラボ」はみなさんと一緒につくりあげていくコミュニティです。
「ひとり一人の「生きる力」が、医療を支える、希望ある社会」の実現に皆さんと共に歩んでまいります!どうぞよろしくお願いします!

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