じんラボリサーチ
【第1回】薬が必要不可欠な腎臓病患者の約半数は
「処方された薬を飲まないことがある!?」
2017.1.16
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実施概要
調査目的
腎機能低下を抑えたり、透析治療では補えない症状等をコントロールしたりと、腎臓病・透析患者にとって毎日の生活での薬は必要不可欠な存在です。
薬の量や飲みやすさは服用する際の水分量が大きく影響します。そのため、摂取する水分量が制限されてる透析患者にとって薬の量や飲みやすさは非常に重要です。
そこで、腎臓病・透析患者と内服薬の実態を把握し、薬のあり方を検討するためのアンケート調査を実施しました。
調査方法 | WEBアンケート |
---|---|
調査エリア | 全国 |
調査対象 | 腎臓病・透析患者・腎移植者男女年齢不問 |
調査期間 | 2016年4月1日(金)〜2016年4月8日(金) |
回答者 | 85名 うち有効回答:80名(内透析患者数:69名) |
調査対象詳細
性別 | ||
---|---|---|
男性 | 55 | 68.8% |
女性 | 25 | 31.2% |
年代 | ||
〜40代 | 31 | 38.8% |
50代 | 29 | 36.3% |
60〜65歳 | 9 | 11.2% |
66〜70歳 | 8 | 10.0% |
71〜75歳 | 0 | - |
76〜80歳 | 3 | 3.7% |
81歳〜 | 0 | - |
腎臓病との関わり | ||
CKDステージG1〜G3 | 5 | 6.2% |
CKDステージG4(保存期腎不全) | 2 | 2.5% |
CKDステージG5(透析を受けている) | 69 | 86.3% |
腎移植者 | 4 | 5.0% |
透析歴 | ||
1年未満 | 6 | 7.5% |
1〜2年 | 13 | 16.2% |
3〜5年 | 17 | 21.3% |
6〜10年 | 12 | 15.0% |
11〜20年 | 19 | 23.8% |
21〜30年 | 4 | 5.0% |
31年以上 | 2 | 2.5% |
透析していない | 7 | 8.7% |
(1)処方されている内服薬は何種類ありますか(n=80)
1 | 服用していない | 1 (1.2%) | |
---|---|---|---|
2 | 1〜2種類 | 1 (1.2%) | |
3 | 3〜4種類 | 14 (17.5%) | |
4 | 5〜6種類 | 27 (33.8%) | |
5 | 7〜8種類 | 17 (21.3%) | |
6 | 9〜10種類 | 11 (13.8%) | |
7 | 11〜12種類 | 6 (7.5%) | |
8 | 13〜14種類 | 2 (2.5%) | |
9 | 15種類以上 | 1 (1.2%) |
5〜6種類を服用している患者が全体の33.8%と最も多く、平均は6.8種類です。処方数最多は15種類、7種類以上を服用している患者は46.3%という結果になりました。
厚生労働省調査の『院内処方、院外処方別に薬剤種類数別件数の構成割合(平成26年6月審査分)』では、院内処方・院外処方とも『1〜2種類』が最も多く、院内処方では44.5%院外処方では40.4%です。7種類以上は院内処方13.0%、院外処方15.2%ということから、腎臓病・透析患者の服用種類の多さが分かります。
(2)服用している薬が飲みづらい、使いづらいと感じることはありますか(n=80)
1 | よくある | 3 (3.7%) | |
---|---|---|---|
2 | 時々ある | 23 (28.8%) | |
3 | あまりない | 18 (22.5%) | |
4 | まったくない | 36 (45.0%) |
55.0%と患者の半数以上が、飲みづらさや使いづらさを何かしら感じていました。
具体的にどういったところが飲みづらい、使いづらいと感じますか
※『まったくない』以外に回答した方(n=44)
剤形に対する不満(共通事由:少量の水で飲むのが困難) | 23 | |
粉薬・顆粒(のどに引っかかる、むせる等) | (10) | |
錠剤(溶けやすくて口の中に広がる、粒が大きい等) | (8) | |
チュアブル型(硬い、入れ歯では噛み砕けない、大きすぎる等) | (5) | |
薬の服用管理が大変(服用タイミングがバラバラ、数が多い等) | 16 | |
包装シートが使いづらい、薬が出しづらい | 8 | |
薬が苦い | 4 | |
副作用がある | 2 | |
医師からの説明がなく効用に疑問 | 1 | |
薬価が高い | 1 |
『剤形に対する飲みづらさ』が最も多く、中でも少量の水で飲むことが困難な粉薬・顆粒に対する意見が多くを占めました。その他、薬の数の多さや飲むタイミングがバラバラなどの理由から『服用管理の大変さ』『包装シートの使いづらさ』に対する意見が多く見られました。
(3)処方された薬はすべて服用していますか(n=80)
1 | 必ず飲んでいる | 43 (53.8%) | |
---|---|---|---|
2 | 時々飲まない時がある | 35 (43.8%) | |
3 | あまり飲まない | 1 (1.2%) | |
4 | ほとんど飲まない | 1 (1.2%) |
毎日の生活で必要不可欠とされる薬を、約半数 の46.2%もの患者が『飲まない時がある』と回答しました。
『必ず飲んでる』以外に回答した37名の飲まない理由の第1位は、服用管理の大変さからか『飲み忘れ』の回答数が19名でした。
処方された薬を飲まないのはなぜですか【複数回答可】
※『必ず飲んでる』以外に回答した方(n=37)
(1) | 飲み忘れる | 19 |
---|---|---|
(2) | 飲まなくても数値が安定している | 7 |
(3) | 飲むのが面倒 | 2 |
(4) | 副作用がつらい | 1 |
(5) | その他 | 18 |
※『その他』と回答した方の回答の詳細
・食事を抜くときには飲まない
・食事内容に合わせて飲む量を調整している
・必要以上に薬が多い 他
注目すべきは、「朝食を食べる習慣がなく服用しない」などを含む「生活サイクルと処方の不一致から、あえて飲んでいない」という理由から『その他』と回答した方が 18名いたことです。この場合、食事を3食摂らない患者が、朝・昼・晩の1日3回服用の薬を処方されると、毎日残薬が発生することになります。
「薬を必要とする患者に、生活サイクルに合った必要最小限の薬を処方すること」、つまり処方薬と生活サイクルの不一致解消は、日本の残薬問題の課題の一つではないでしょうか。
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