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じんラボリサーチ

【第2回】外食産業の減塩メニュー導入が患者を救う?!

2017.2.13

文:じんラボスタッフ

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実施概要

調査目的

腎臓病・透析患者の治療の一つに食事療法があります。
食事療法を行うことで、病状の進行を遅らせたり、体調を良好に保ちつつ安定した透析を続けていくことができますが、病気の段階を問わず重要なのは「減塩」です。「減塩」は一般的にもその重要性が広がってきていますが、特に腎臓への負担軽減や、高血圧を防ぐなどの重要な役割を果たします。加えて透析患者は日常的な水分管理が必要なため、医師や栄養士から減塩指導されることが多いものの、医療者の目の届かない日常の食事は患者の自己管理に委ねられます。
そこで、腎臓病・透析患者自身が行う食事療法への取り組み方を調査し、現状の問題点等を検討するため、アンケート調査を実施しました。

調査方法WEBアンケート
調査エリア全国
調査対象腎臓病・透析患者・腎移植者 男女 年齢不問
調査期間2016年5月2日(月)〜5月9日(月)
回答者78名(内透析患者68名)

調査対象詳細

性別
男性 51 65.4%
女性 27 34.6%
年代
〜40代 35 44.9%
50代 24 30.8%
60〜65歳 8 10.2%
66〜70歳 7 9.0%
71〜75歳 2 2.5%
76〜80歳 1 1.3%
81歳〜 1 1.3%
腎臓病との関わり
CKDステージG1〜G3 4 5.1%
CKDステージG4(保存期腎不全) 2 2.6%
CKDステージG5(透析を受けている) 68 87.2%
腎移植者 4 5.1%
透析歴
1年未満 6 7.7%
1〜2年 9 11.5%
3〜5年 12 15.4%
6〜10年 20 25.7%
11〜20年 15 19.2%
21〜30年 9 11.5%
31年以上 1 1.3%
透析していない 6 7.7%

(1)あなたは減塩対策をしていますか(n=78)

1 はい 65 (83.3%)
2 いいえ 13 (16.7%)

平成26年の厚生労働省「国民健康・栄養調査」によると日本人の食塩摂取量の平均値は10.0gで、1日あたりの食塩摂取量目標値は男性8g、女性7gとされていますが(日本人の食事摂取基準 2015年版)、腎臓病・透析患者はさらにそれを下回る6g未満が望ましいとされています。健康な方の半分近くまで減らす必要があるため、ほとんどの方が減塩対策を行っていることがアンケート結果からもわかります。

(2)定期的な診察で医師に塩分を減らすよう注意を受けますか
(n=78)

1 よく受ける 1 (1.3%)
2 時々受ける 18 (23.1%)
3 あまり受けない 28 (35.9%)
4 まったく受けない 31 (39.7%)

(3)減塩・無塩商品の中から普段使用しているものをお答えください(n=78:複数回答)

1 20
2 醤油 44
3 味噌 21
4 ケチャップ、マヨネーズ、ソース  17
5 ドレッシング、ポン酢 19
6 コンソメ、和洋中だしの素 18
7 梅干し、漬物 16
8 パン類 12
9 うどん、そば等の麺類 16
10 インスタントカップ麺 10
11 佃煮、ふりかけ 8
12 各種レトルト食品 10
13 弁当、宅配食 10
14 減塩・無塩食品は使っていない 20
15 その他 3

(4)あったらいいなと思う減塩商品があればご記入ください
(自由記述回答)

1 食品(弁当や冷凍食品、惣菜など) 24
2 調味料(白だし、焼肉のたれなど) 9
3 機器(固形物でも計れる塩分測定器など) 3
4 その他(外食減塩メニューなど) 8
5 特になし、無回答 46

(5)減塩対策で困っていることはありますか
(n=78:複数回答可)

1 減塩商品が割高 29
2 購入先が限られている 16
3 食品に塩分(ナトリウム)量表示がない 26
4 外食先に減塩メニューがない 35
5 困っていることは特にない 20
6 その他 7
7 特にない 20

病状の進行や体調不良を防ぐためにも、腎臓病・透析患者にとって減塩対策は必須ですが、7割以上(74.4%)の患者が減塩対策に対する悩みを抱えていました。

困りごとの1位は「外食先の減塩メニューがない」で、6割以上の35名が回答しました。
記述回答では「ラーメン店ではスープを飲まない」という意見が多く見られました。スープや具材、店舗によって差はあるものの、ラーメンの塩分量は醤油や味噌ラーメンでだいたい10g前後(スープ含)。インスタントラーメンでも5〜6gあり、スープも飲み干すとたった1食で1日分以上の塩分量を摂取することになります。それでも患者にとってラーメンは減塩対策を講じてでも食べたい食品の筆頭に上がるようです。
また、日常的な減塩で薄味に慣れてしまい「味が濃いので極力外食はしない」など、生活スタイルに影響するほどの減塩対策を行っている患者も多く、外食にまつわる苦悩がうかがえる結果となりました。


昭和40年以降、日本の塩分摂取量は徐々に減少傾向にありますが、WHO(世界保健機構)の最新ガイドラインでは1日5g以下を推奨しています。日本の目標値「男性8g、女性7g」は世界的に見れば高水準で、まだまだ減塩の努力が必要です。こうした中、腎臓病・透析患者だけでなく一般的にも減塩に対する意識が高まる一方、外食産業では減塩料理を提供している飲食店はまだまだ少ない状況です。しかし患者とはいえ、外食は一切しない巣ごもり生活では気分が滅入り外食をすべて排除した日常生活は、人間関係を築く上でも困難と言えます。

世界各国で減塩政策が進んでいる中、昨今では日本でも多くの減塩製品が開発され、家庭での減塩が比較的容易になりました。外食産業においても減塩メニューの開発や販売に国を挙げて推進し減塩が当たり前となる社会を目指すことで、世界水準の塩分摂取量に向かうのではないでしょうか。

(6)あなたが行っているオススメの減塩対策があればご記入ください(自由記述回答)

1 塩分過多の食品は食べない・飲まない 20
2 素材の味を楽しむ・薄味に慣れる 19
3 出汁やお酢、香辛料を効かせて味付けし、塩分量を減らす 14
4 外食を控える 9
5 「スプレーボトル」や「つけ食べ」等、後がけ調味料の使い方を工夫 8
6 下味はつけず食べる際少量つける等、味付けタイミングを工夫 6
7 食品は成分表を確認して購入する 4
8 ポン酢や漬物など市販のものを使わず手作り 3
9 その他 8

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