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食生活研究室

皆さんで一緒に、力を合わせて
外食・中食業界に働きかけませんか?

2013.4.1

文:所長

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腎臓病患者さん、透析患者さんが安心して
外食・中食を利用できる食環境と社会づくりを目指します!
外食・中食を提供する企業の意識を高めるための働きかけをします!
外食・中食について調べ、考え、知識を皆さんと共有します!
外食(がいしょく):
家庭外のレストランや食堂などで、調理された料理をその場で食べること
中食(なかしょく・ちゅうしょく):
家庭外で調理された食品を購入、または届けてもらい家庭内で食べること

腎臓病患者さん、透析患者さんにとっての外食・中食

腎臓病・透析患者にとって、食事管理は大変重要なテーマであり、治療のうえでもその役割は大変大きいものです。

腎臓保存期の方の場合は、主に蛋白質・塩分の制限・適正なエネルギーの摂取
透析患者さんの場合は、主にカリウム・リン・塩分・水分の制限

腎臓保存期の方、透析患者さんともに塩分の制限は共通していますが、留意する成分が異なります。 (詳しくは基礎知識の「食事療法」をご覧ください。)

食生活において、私が自分自身の経験の中で特に悩んだこと、また他の患者さんとの話の中で考えたことが、「外食・中食」についてです。


私の独身時代の「外食・中食」

私は独身時代、透析をしながら14年間サラリーマン生活を送ってきましたが、自炊はほとんどしませんでしたので、社員食堂やどこかのお店で食べるか、お弁当や惣菜を買って家で食べるかのどちらかでした。

実家に暮らしていた保存期から透析導入当初は、母親が作ってくれていました。が、正直言って塩分以外はあまり制限というものはしていなかったような気がします。

透析に入り、少し病気のことを学びはじめた時、「カリウムを摂り過ぎると心停止を起こす」という文面を読んでショックを受け、食事をするのが恐くなったこともあって、しばらくは母親の協力を得て食材を全て計量し、食品成分表でカリウム等の値をすべて調べてノートに記録していました。

このことは、その後の食事管理をする上で良いトレーニングになり、だいたいこれぐらい食べると検査ではこう反映する、という大雑把な目安のようなものが自覚できたような気がします。
ただ、就職に伴い一人暮らしをするようになると、自宅にいる時のような食事管理は当然できません。透析患者の食事というものに少しは慣れてきていたことと、仕事の忙しさから、実家にいた時のように食事に対しての意識を高く保つこともままならなくなっていたのです。
それでも今振り返ると、トレーニングのおかげか、ある程度のコントロールはできていたのではないかと思います。

それにしても、当時は昼夜を問わずよくコンビニのお世話になりました。特にお弁当。
かなり塩分が多いとは分かってはいましたが…。


外食・中食でのリン・カリウムなどの栄養表示

ちなみに、最近だと「ヘルシー弁当」のような、カロリーなど控えめなものもコンビニ等で良く見かけるようになってきましたが、当時はまだまだ少なかったような気がします。

お弁当には「食品成分」がシールで表示してありますが、カロリーや蛋白質、ナトリウム、塩分相当量は結構掲載されていますので、腎臓保存期の方には役に立ちます。

ただ透析患者の場合、「必要なエネルギーは摂り、リンカリウムには気を付けて。」ということなのですが、肝心の「リンカリウム」の表示がしてあるものは見たことがありません。

購入する人の割合からすると少ないのでしょうがないのかなぁ、とは思いつつも「リンカリウムの表示があったらいいのに…」と思っていました。

そしてその表示があれば、透析患者さんの中でも働いている人だけではなく、お年寄りの方で食事を作れない方にも役に立つのではないかと思ったものです。

在宅で療養されている方の中には、透析患者向けの宅配食を取られている方もいらっしゃると思います。費用が割高ですが、外出が体力的に難しい方には大変助かります。

ただ外出可能な方にとっては、費用や利便性を考えると、コンビニやスーパーで売っているお弁当やお惣菜を購入する方が望ましいのではないでしょうか。 それらにリンカリウムの値が表示されていて、確認できるようになっていれば、自分で考え購入するようになり、買い物をするという楽しみと同時に体力低下、もしかして認知症予防にも効果があるのではないか、とそんな風にも思ったりします。

できることは自分ですることが、やはり大切ではないかと思うんですよね。

これは、ファミリーレストランとかでも同じだと思うのです。例えば、たまには家族や友人達と外食を楽しみたい時もあると思うのですが、食事の制限があり遠慮してしまう。

また行ったとしても自分自身が何を食べればいいのか戸惑ってしまう。さらには、一緒に行った方々が気を遣ってしまう…。

食事は人生に潤いをあたえ、また楽しみの一つでもあるはずです。

「食事制限」ということで、精神的なストレスは確実に生じます。致し方ないことではありますが、ストイックな食事制限は余程の強い忍耐力がないと続きません。これは何でもそうだと思いますが、継続するためにはその過程に「楽しみ」や「ご褒美」のような要素が必要ではないでしょうか。

もちろん「ご褒美」の最たるものは、自身の体調を維持することではあるのですが…。


楽しみながら食事制限ができる
自分で考え選んで食事を楽しむことができる

先に書いたように、「蛋白質」「塩分」に加えて、「リン」と「カリウム」を表示するようなことを、コンビニやスーパー、ファミリーレストランなどの外食・中食業界で検討し、実現できたら腎臓病の進行予防、透析患者さんの合併症予防の一助になるのではないだろうか、そんなことを考え、現状の食品成分の表示がどうなっているかを実際にお店で確認したり、インターネットで調べてみました。

カロリー(Kcal)、蛋白質(g)、脂質(g)、炭水化物(g)、ナトリウムが掲載してあるのが多かったのですが、ある大手お弁当チェーン店のサイトで「リン」と「カリウム」が表示されているのを発見しました。

見つけたときは少し驚き、嬉しくもあったのですが、塩分はやはり多めなのと、店頭に置いてあるメニューには表示がないというのが何とも残念でした。

そして、それをフェイスブックでちょっとつぶやいたら、透析患者さんが以前に同じように外食チェーン店等のサイトに「カリウム」「リン」が掲載されているかどうかを調べたことがあったそうで、その時の調査結果を教えてくださいました。

結講多くの外食チェーン店に掲載されていることを知り、また驚き、良いことだと思ったのですが、すぐにちょっと考えてしまいました。

というのは、ウェブサイト等で成分の確認はできても、先ほど紹介したお弁当チェーン店と同じく、店頭で購入する際に確認できないとなると、実際問題として考えた場合、本当の意味であまり役には立たないのではないかということです。

またもし表示がされていたとしても腎臓病・透析患者共通して「塩分」を控えめにしてもらわないことには好んで食べたいとは思えないのではないでしょうか。


慢性腎臓病患者さん、透析患者さんのQOLの向上のために

慢性腎臓病患者は今、国民の8人に1人の割合で約1,330万人、透析患者は約30万人。 共に病気の進行を遅らせるため、また合併症にならないために「食生活」は当然大切なこと。

「家食」でコントロール可能な患者だけでなく外食が避けられない患者もたくさんいる中で、外食・中食が食事管理の阻害になるのではなく一助になり、かつ「楽しみ」という要素が加えられるようになれば、なにか「ストイック」というイメージではなく、「前向き」なイメージで日々の生活の中で取り入れられやすくなるのではないかと思います。

 

もちろん特に透析患者さんにとっては、一人一人の状態に合わせ、可能な限り透析時間を延ばす、血流をあげる等で透析量を増やし、いわゆる「しっかり透析」を行うことで、食事制限は緩くなり、QOLが向上することは言うまでもありません。

腎臓病患者さんと透析患者さんの、家食・外食・中食を含めた 食事管理という大きなテーマを、皆さんとともに考え、 外食・中食業界への働きかけを視野に入れ取り組んでいきます。

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所長

所長
一般社団法人ペイシェントフッド代表理事。社会福祉士。透析歴31年。
14年間勤めた一般企業を退職後、福祉職を経て、2010年9月に株式会社を設立し、2018年4月からは一般社団法人ペイシェントフッドに法人格を変更。
長い年月にわたり「治療を受ける」という「受け身の立場」で医療と関わってきましたが、腎臓病を経て、透析を受ける当事者として、その経験・想いを「腎臓病・透析に関わるすべての人の幸せのために」役立てられないかと一念発起し、起業しました。
「じんラボ」はみなさんと一緒につくりあげていくコミュニティです。
「ひとり一人の「生きる力」が、医療を支える、希望ある社会」の実現に皆さんと共に歩んでまいります!どうぞよろしくお願いします!

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