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世渡りナビ(就業・社会生活)

透析者が就労し、働き続けるために【第3回】
職場の方々に病気への理解を深めてもらうためには

2016.5.26

文:所長

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この「世渡りナビ」にはかなり久しぶりの投稿となりましたが、引き続き透析者の就労について考えていきます。
透析者が就職・転職して仕事をしていく上では、職場で共に働く方々に自身の病気のことをしっかり理解してもらうことが大切です。

「慢性腎不全」や特に「透析」について言葉では聞いたことがあっても、実際に家族など身近な方に透析をしている人間がいなければ、センセーショナルに放送されるテレビや雑誌等でしか知る機会がなく「命にかかわる大変な病気」という断片的なイメージしかもっていない人も多いかも知れません。

ですから、そうした方々が透析者と共に働くとなると、

「どう接したら良いのだろう?」
「頼める仕事と頼めない仕事があるだろうか?」
「ランチは一緒にとれるのだろうか?」

等々、新しい職場で透析者が不安を感じるのと同様、受け入れる側もこうした不安を感じるかも知れないということを透析者自身が理解しておきましょう。
そして、相手の不安を解消するためにも積極的に透析について、また自身について周りの方に理解していただく努力が必要です。
ただし、病気の怖さばかりを伝えるのではなく、時間的な配慮やその他あなたが仕事をしていく上で必要なサポートについて伝えるようにしましょう。


私の場合は、職場の懇親会等のフランクな集まりを活用して話していました。
少し賑やかな場ではありますが、こういう場の方がかえってこちらも話しやすいし、聞く側としても聞きやすい雰囲気だからです。
こちらから話をするより先に疑問に思っていることを聞かれることも多くありました。

例えば、

「宿野部さんは何が食べられないの?」
「お酒飲んで大丈夫なの?」

などです。

そこでしっかりお話をして、透析患者に対しての不安のようなものを解消していきました。
上の質問の答えで言えば、

「野菜や果物に多く入っているカリウムと、乳製品や加工食品に多く含まれているリンには気を付けています。でも自分でコントロールできますから飲み会とかにはぜひ誘ってくださいー」

とか、

「おしっこが出ないので水分は制限していますが、少しだったら飲めます。これも自分でコントロールしますが、『一気』は勘弁してくださいね(笑)」

とかそんな感じです。
あまり深刻な感じに伝わらないよう配慮していました。

病気のことを理解してもらうには、1回話して終わりというわけにはいかないと思いますし、周りの方はさまざまな機会に病気のこと、透析のことについて尋ねたいと思うはずです。
そんな時には気軽に応じ、そして普段から「何でも聞いてください」といった感じで伝えておけるとコミュニケーションをとりやすくなり、なお良いです。


食事やお酒の話から入って、「時間的な配慮をお願いする場合もある」という話もしました。
透析日はどうしても仕事を早く切り上げて帰らなければいけないわけですが、それでも限られた時間の中で

「しっかり仕事に取り組みたいと思っている。」
「できるだけ迷惑はかけないように努力する。」

という気持ちは個人的にとても大切に思っていましたし、それをまじめに真摯に伝えるようにしました。
しっかり誠実に仕事に向き合い、周りの方々ともコミュニケーションをとりながら日々仕事を進めていく。
本当に日々の地道な努力の積み重ねが、病気を含めた自分への信用を高めていくのではないでしょうか。

14年間会社員として勤めていた時には、いくつかの職場に異動になりましたが常に上記の事を考えながら仕事をしてきました。

そうして周りの方の理解と協力を得ながらしっかり仕事をして「透析をしている人と一緒に仕事をしていたけど特別なことはなく、楽しそうにしっかり仕事をしていたなあ」と周りの方々に思っていただくことは、自分のためだけでなく後々その職場や会社に入ってくるかも知れない透析者のためにもなるのです。

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所長

所長
一般社団法人ペイシェントフッド代表理事。社会福祉士。透析歴31年。
14年間勤めた一般企業を退職後、福祉職を経て、2010年9月に株式会社を設立し、2018年4月からは一般社団法人ペイシェントフッドに法人格を変更。
長い年月にわたり「治療を受ける」という「受け身の立場」で医療と関わってきましたが、腎臓病を経て、透析を受ける当事者として、その経験・想いを「腎臓病・透析に関わるすべての人の幸せのために」役立てられないかと一念発起し、起業しました。
「じんラボ」はみなさんと一緒につくりあげていくコミュニティです。
「ひとり一人の「生きる力」が、医療を支える、希望ある社会」の実現に皆さんと共に歩んでまいります!どうぞよろしくお願いします!

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