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遅咲きボクサーの闘病記〜透析を受け止め、前を向くまで

【第1話】私の「今」を支えるボクシング経験

2020.12.9

文:

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皆さまはじめまして。雄と申します。1966年生まれの54歳、現在は千葉県在住です。
糖尿病性腎症を発症し、2年前に血液透析を開始しました。自律神経障害からくる筋力低下、網膜症を発症し、なかなか生活がままならない日々を過ごしています。
透析治療を受け入れるまで時間がかかりましたし、体に無理がきかなくなっていますが、それでも今は前を向けるようになりました。今回は、そんな私の「今」を支えてくれている、若い頃に熱中したボクシングのお話をさせていただければと思います。


ボクシングと出会い充実した日々

私がボクシングを始めたのは、大学卒業間近、22歳の秋でした。
幼い頃から長年続けていた野球をこの年に引退しましたが、引退後、運動をしたくて体が疼きだすのに時間はかかりませんでした。
野球からボクシングへの転身は畑違いのように思えるかもしれませんが、きっかけは「なんかボクサーかっこいい!」という単純な気持ちでした。当時はアメリカのプロボクサー、マイク・タイソンの全盛期。自分よりも体格の良い相手をバッタバタと倒す姿に胸を熱くしたものです。

就職してからもボクシング熱は一向に冷めませんでした。仕事が終わってからでも通えるよう、夜11時まで営業しているジムに入会しました。朝6時に家を出てから夜8時過ぎまで働いた後1時間かけてジムに移動して、ボクシングの練習に没頭。練習後は1人残ったジムでリングの雑巾がけと戸締りをして帰宅…という日々が続きました。

初めてのスパーリングはジムに入会して半年ほどたった頃で、相手はプロテスト受験直前のボクサーでした。あっという間にスタミナが切れてしまい、ガードした手も上がらなくなるほどボッコボコに打ちのめされた悲しい記憶が残っています(笑)。
そんなハードなスケジュールの毎日を送っていましたが、確実に上達する手ごたえを感じましたし、何よりボクシングが楽しかったので、ものすごく充実した日々でした。


多くの人の応援で上れたリング…44歳でヘビー級チャンピオンに

ジムに入会してから5年の月日が流れ、晴れてプロテストに合格しました。そして、28歳という遅咲きデビュー戦は見事判定勝利! この“おっさんの勝利”は新聞にも取り上げていただきました。

リング上からの景色とスコールを浴びるかのような拍手喝采は、今でも脳裏に焼き付いています。リングの上はごまかしの効かない本当の自分“身一つ”で戦う。それがボクシングの魅力だと思います。

30代で糖尿病を発症し軽度の脳梗塞も起こしましたが、治療と練習を続けて、40代になってからはシニア大会、その名も「おやじファイト外部サイトへ(30歳以上のオヤジがボクシングで王者を目指すスパーリング大会)」に参戦しました。おやじなりに人生を背負って上がるリング…皆さんとても強かった!

44歳の時、5戦目にしておやじファイトヘビー級チャンピオンになりました。王座決定戦は2-0の判定勝ち! 応援してくれる人達の声が、今にも倒れそうな自分の足を支えてくれました。 嬉しさはもちろんのこと、多くの人のサポートと応援があって戦えたこと、そしてその人たちにベルト姿を見せることができたことを思い涙が止まりませんでした。

今思うと、試合前の計量は透析前の体重測定に似ています。
ボクシング漬けな生活を続けていた頃から体の「変調」は始まっていたかもしれません。しかし、透析を生活の一部として受け入れる覚悟はこの頃から培われていたんだと思います。
減量やハードな生活習慣など身体に信じられないくらい無理をさせてきましたが、今は体の声を聞いて寄り添っていこうと思っています。

多くの人達の尽力があって上がることができたリング。本当に感謝しかありません。

次回は、ボクシングの引退と復活、そして50代になって始まった透析治療の導入についてお話しします。

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雄


53歳。30代の頃から糖尿病を発症。軽度の脳梗塞を経て2018年より血液透析を導入しました。私はボクシングをやってきて20代後半の頃に現役で4試合。40代に入ってシニアの大会で6試合やりました。『諦める』『受け止める』『前に進む』様々な感情を文章にできればと思います。宜しくお願いします。

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