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透析になって改めて知った食事の大切さ

【第2話】母が腎臓病に。栄養士の私ができることは?

2024.1.29

文:美峰

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栄養士イメージ

私ではなく母が透析に?

私が慢性腎炎と診断されてから、20年程が経ちました。相変わらず薬を飲んでいましたが、体調は良く、外来での血液検査や年に1回の蓄尿検査を受けながら経過観察として通院を続けていました。仕事では仲間に恵まれリーダーを任されるなど、順調に過ごしていました。
ある日、仕事が終わって家に帰ると、母が普段通っている個人医院からもらって来た紹介状を私に差し出しました。宛名を見ると「腎臓内科」の先生宛でした。

「高血圧で治療してたんじゃないっけ? 母も腎炎になったんだ? それなら、私の通っている先生に診てもらえば良いな」と気楽に思い、連れて行って検査をすると、すぐに透析を検討しなければならない程に腎臓の機能が落ちていることがわかりました。
先生の説明によると、母は腎硬化症による慢性腎不全とのことで、私は腎炎の先に透析があることを、その時に初めて知りました。

透析についての説明は以下のようなものでした。

  • 透析をするためにまずはシャントを作る手術をしなければいけないこと。
  • 週3回、1日4時間程じっとしていなければいけないこと。
  • かなり厳しい食事制限があること。
  • 要介護状態になってしまう可能性もあること。

……透析に関するいろいろなことが、自分ごととして考えるようになったら急に怖くなってしまいました。
ある時横になっていたら、ふと「4時間もじっとしているなんて私にできるんだろうか!?」とパニックになるほどで、急に目の前に現れた「透析」は、私にとって脅威でショッキングな話でした。


栄養士として試された気になった

食卓イメージ

しばらくして、管理栄養士さんによる母の食事指導に付き添い、話を聞きました。腎臓病食品交換表を使っての指導は、「1日の摂取エネルギー1600kcalのうち600kcalをご飯や麺、肉や魚、野菜等から摂り、残りの1000kcalを砂糖や油脂で摂る」という内容でした。
私の中の栄養士としての血が騒ぎましたが、まだ知識も少なくブランクもあったので、最初は管理栄養士さんに言われた通りにやろうと試みました。しかし、もともと食べる量の少ない母にとって、指導された内容はかなり難しいものでした。

母が高齢ということもふまえて管理栄養士さんに改めて相談し、最終的にはエネルギーは厳しい指定をせず、リンとカリウム制限をメインにすることになりました。それからは私を含め家族を巻き込んでの食事制限が始まり、同時に私の栄養士としての知識や技量が試されているようでした。
カリウムを減らすために野菜は必ず茹でこぼし、魚や肉、豆腐などのたんぱく質は被らないようにし、減塩醤油やだしを使って薄味にし、大葉や生姜などの薬味を積極的に使い……毎日試行錯誤しました。
しかし、特に塩分を制限すると母は食が進まずに痩せていきました。それでも塩分制限を守るか、母の好みに合わせて食べてもらうことを優先するかで悩みました。母に「塩気がない!」と何回も言われて、めげる自分もいました。母からの言葉だから余計に強く感じたのかもしれません。

結局、母の好みに合わせてしまい、以前とあまり変わらない味付けになっていたように思います。栄養士よりも娘として、「しっかりと食べてほしい」という気持ちが勝ってしまったのです。母がごはんをしっかりと食べられるよう、漬物やふりかけ等はよく食卓にあったように思います。
複雑な心境でしたが、食べずに痩せ細ってしまうよりはいい、と自分に言い聞かせていました。それに、自分で透析を経験しているわけではなかったので、まだどこか他人ごとだったのかもしれません。

その後、むくみが酷くなった母は、先生に「限界だよ」と言われてシャントを作り透析に入りました。
もう少し私が気持ちを強く持ち、管理してあげられたら…と後悔しました。

次回は、私自身が透析を導入するまでの話です。

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美峰

美峰
新潟県在住。透析3年目です。
栄養士の資格を取り、学校栄養士として働いていましたが、慢性腎炎が判明。地元で治療に専念する為に退職し全く違う仕事をしていましたが、両親の介護が続いて急激に悪化して2020年に透析になり、その仕事も退職。現在は食生活改善推進員や福祉ボランティアをしています。音楽が好きなのでピアノやドラムを習っています。

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