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透析患者•よしいなをきの日常生活

【第22話】よしい家の事情

2015.8.10

文:よしいなをき

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よしい家の事情よしい家の唐揚げ。こういう料理を大学時代、バイト先の居酒屋で覚えた。

私は朝型人間なのかもしれません、いつも朝は6時前には起きています。この4月に子供が高校に進学してからは、家族の朝食を作るのと併せて子供のお弁当も作っています。毎朝調理は私がして、お弁当箱に詰めるのは子供にやらせているのですが、父親の私がお弁当を作ることが我が家では当たり前で、子供はそれを不思議に思うこともなくごく普通に学校に持って行きます。私の体調が悪くて朝起きられないということがあったりすると、子供が自分で弁当を作っていくこともありました。やはり調理している親の姿を子供に見せるのは大切なことだと思います。

ところが私はカミさんの弁当は作ったことがありません。いや、厳密に言うと新婚当時に1度だけ、たった1度だけ作ったことがあるのですが「これでは足りない」とかみさんに一蹴されて以来作らなくなってしまいました。今回はその辺りから「よしい家の事情」をお話したいと思います。

透析の無い日は夕食も私が作ります。仕事を終えてからその日に食べる分だけの食材を買いに出かけ、帰宅後すぐに食事の支度を始めます。まずはキャベツの千切りやキュウリの切ったもの等野菜を水にさらすことから始めます。カリウム対策としては時間が少し足りないかもしれませんが、やらないよりはマシといった感じです。ある日のメインディッシュは子供のリクエストを受けて鳥の唐揚げです。ボウルに鶏肉と減塩醤油、砂糖、生姜のすりおろしたもの、卵黄を入れて20分ほど放置します。その間に別の器に水にさらしたキュウリとお酢、砂糖、カニカマをほぐしたものを入れて酢の物にします。さて、いよいよ鶏肉を片栗粉にまぶして揚げようかというときに電話が鳴りました。

電話に出るとカミさんです。
「ナニ? 帰るのが遅くなる! もっと早く知らせてよ! 」と私。
「ゴメン、ゴメン」と電話の向こうのカミさんは悪びれた風ではありません。でも、電話を切りながら自問自答します。
「そういえば、前の会社にいるときはどうだったろう? 私も同じことをしていたかなあ」

カミさんの帰るタイミングを見計らいながら食事の支度に戻ります。キュウリの酢の物は冷蔵庫にしまい、唐揚げはカミさんが帰宅してから揚げることにしました。基本的に我が家ではみんなが揃うときは一緒に食事をします。それは私が透析で月、水、金と不在なので、その埋め合わせをみんなでしているからだと思います。

「私が食事を作ることで、家族の絆ができているのかな」とも思います。私が食べられない分、子供にはもっとバランスの良いものをとか、カミさんは食物繊維が足りていないのでは、などといったことを心配するようにもなりました。私の母親も私が子供だったときに同じことを考えていたのかもしれないと、気がついたのはつい最近です。

こんなところで夫婦の話をするのもなんなのですが、とりわけ仲が良い夫婦ということでもないのです。でも趣味が合うとは言えるかもしれません。観る映画の嗜好はほぼ同じ、自転車乗りだとかビリヤードだとか、2人で一緒にすることは多いです。家庭での役割もうまく分かれていて、掃除、洗濯は休日にカミさんが、食事の支度と大きなゴミ出しは私がします。お互いが家庭の中でうまく機能して助け合ったりしているので、長く続いているのかもしれません。

でも喧嘩は先日1回だけありました。私が好きな女優さんが出ている舞台を2回立て続けに観に行き食事の支度をすっぽかしたので、さすがにキレられました。厳密に言ったら喧嘩じゃないですね。一方的に叱られただけの話でした(苦笑)。

先日、私から、 「よく別れもしないで長く続いてきたよねえ」と言ったら、
「とりあえずあなたといて退屈はしなかったから」とカミさんから言われました。
まあ、退屈な男でなくてよかったというのか、少し複雑で少し不思議な感じがしました…。

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よしいなをき

よしいなをき
透析はしていますが普段はスポーツ自転車に乗って 体を鍛えています。
仕事は、平凡なサラリーマンですが、透析の時間を利用して、ブログを書いたり、小説を書いたりしています。

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