with Kidney プロジェクト

[ 新規会員登録(無料)] または [ ログイン ]

腎臓病(慢性腎臓病:CKD)・透析と正しく向き合い、知って、共感して、支え合って、自立する。
基礎知識やQ&Aコミュニティ、透析管理ツールやサポート情報など、元気に生活するためのすべてがここに。

新規会員登録(無料)

生き活きナビ(サポート情報)

知っトク? こんな事〜患者・家族のお役立ち情報
【第15回】
夢じゃない! 自宅で透析

2016.1.18

文:アスペクト比P

2399

緑の文字の用語をクリックすると用語解説ページに移動するよ。

じんラボ をフォローして最新情報をチェック!

イメージ

冬になり、お布団から出るのがつらい朝が多くなってきました。とはいえ、お布団から出て仕事に行かないと暮らしていけないのでイヤイヤながらも外に出るわけですが、ふと思う時はありませんか? 「透析に行きたくないなぁ」とか「透析施設がうちに来てくれないかなぁ」と。そうして布団の中で二度寝…。 なんて冗談めかして書いてみましたが、真面目な話として自宅でできる透析「在宅血液透析(HHD)」の話です。

患者が自宅で行う透析というと、多くの方々は腹膜透析(PD)を思い浮かべるのではないでしょうか。私も初めて資料で在宅血液透析を知った時は「自宅で? 自分でプライミングや穿刺をして透析!? 」と驚いたことをよく覚えています。しかし最近では、在宅血液透析を導入したという話を地方紙などの記事で見かけることも多くなってきました。もしかすると、自分が在宅血液透析に興味があるから目につくのかもしれませんが…。

在宅血液透析が「家庭透析」と呼ばれていた時代は、透析液も患者自身が粉の薬剤を溶かして混合するなど準備も非常に大変だったと聞いています。最近ではコンソールに自動プライミング装置が導入され、RO水装置も小型化・静音化されたモデルが出ています。 また、各メーカーが在宅血液透析のモデルルームを日本透析医学会の会場で展示するなど、注目されつつあるようです。 私自身、将来的に実家に戻る際は在宅血液透析を選択したいと思い、さまざまな資料を集めている最中です。

では、患者にとって在宅血液透析を選択するメリットにはどんなものがあるのでしょうか。 まずは、自宅で行うので通院して治療を受ける時間を家族とのだんらんや自分の勉強や趣味に回せるということです。そして、現時点(2016年1月現在)では透析の回数制限(14回/月)がないので、中2日空きをなくし患者の身体にとって一番効率の良いと言われている頻回透析が可能です。

これらのメリットを知ると「なぜ在宅血液透析は知られてないの? 」と思われたのではないでしょうか。 実は、在宅血液透析を自宅で行うには乗り越えるべきさまざまなハードルがあります。希望した患者さんすべてが乗り越えられるとは限らないのです。患者さん本人が途中で投げ出さないで、自分自身の命がかかっている治療を行うという意志が必要です。さらに3ヶ月から最長で1年間の訓練期間中に、透析のコンソールや水処理装置などの機械の操作やプライミング(透析回路の準備)を覚え、自分で自分のシャントに穿刺をするなど多くハードルを乗り越え、試験に合格しないと自宅での透析はできません。

透析中の介助をする家族に穿刺から準備、後始末までやってもらえると思っていたが、奥様から「そこまでできません! 」と拒否されてしまい訓練も中止になった、という話をこの訓練を受けていた方から聞いたこともあります。 日本透析医学会の定める在宅血液透析の施行マニュアルにも、患者以外の介助者が必要であることが明記されていますし、介助者にも患者同様にさまざまな訓練を受けることが義務付けられています。

また自宅に透析のための機械を置くということは、自宅を改装する必要性も出てきますし、そのためにはそれなりの自己資金も必要です。さらに毎回の透析後に出るゴミ(ダイアライザーなど)は血液汚染物なので、感染廃棄物扱いで管理施設に運んで処理してもらうなどの細かい問題も多いのです(地域によって廃棄の規則は異なります)。

ここまでの紹介では在宅血液透析は難しそうに思えるかもしれません。ですが私たち透析患者にとって自分らしい生活をおくるための選択肢の一つとして、チャンスがあれば導入を考えてみてもよいのではないでしょうか?


(追記) 2016年10月22日〜23日に、広島県広島市の国際会議場にて第19回在宅血液透析研究会が開催されます。興味をお持ちの方は在宅血液透析研究会のホームページ外部サイトへに患者向けのページもありますのでご覧ください。

参考サイト

この記事はどうでしたか?


  • 記事のクリップ機能を使うには会員登録が必要です
アスペクト比P

アスペクト比P
中国地方に住むオタク系透析患者。 20歳の時にIgA腎症と診断され、忙しさにかまけて6年間ほぼ治療をしないまま放置してしまい、27歳の時に透析導入。今年で透析導入16年目、透析病院での仕事と透析に趣味に透析患者会のお手伝いと走り回っています。

    こんな情報が知りたい、私も何か記事を書きたいなど、「生き活きナビ」にご意見をお寄せください!

    ご意見をお寄せください

    PR
    緑の文字の用語はオンマウスで用語解説が見れるよ。クリックするとさらに詳しい用語解説ページに移動するよ。

    生き活きナビ内検索

    透析ライフガイドブック「患者がつくった透析のほん」

    →透析ライフガイドブック「患者がつくった透析のほん」 とは

    この"ほん"をご希望の方

    以下のボタンから申込フォームにお進みください。
    【New!】個人の方向けにkindle(電子書籍)版をご用意しました。
    冊子版をご希望の方はかかりつけの医療施設にお問合せください。


    申込フォームに移動します


    Amazonに移動します

    この"ほん"を手にされた方

    ご感想やご要望をお寄せください!!
    続編の希望などもあれば教えてください。

    じんラボを応援してください!