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わたしとの対話~わたしの道しるべ

【第1話】トーセキがあたりまえだった子供のころ

2021.8.30

文:もあぞう

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小学3年生から始まった「トーセキ」

「キーンコーンカーンコーン」1限目の授業が終わったら、帰る用意をして校門で待っている母の車に乗り込む。小学3年生から血液透析をしていたわたしは月・水・金曜日に、こうして病院に向かうのが当たり前だった。
細い腕にシャントを作り、血管も細かったため穿刺にはいつも時間がかかっていた。太い針を刺されるだけでも痛いのに穿刺はいつも失敗され、透析室中に響き渡るくらいわたしはいつも大きな声で泣き叫んでいた。

当時は血圧の低下や頭痛、貧血がひどく、透析が終わったら寝ていることが多かった。小児科病棟に入院していた時は病院内にある学校に通っていて、小学生4~5人で授業を受けていた。車いすの子や持続点滴中の子、授業中に喘息の発作を起こす子もいたが、教室がとても明るく先生もみんな笑顔でいたのがとても印象的だった。

体調が悪いと病室まで先生が来てくれて授業を受けることもあった。遠足は医師と看護師さんが同乗してくれたため安心して行けたし、七夕やクリスマスのような行事がたくさんあった。入院生活では子供同士で遊べたし、看護学生さんがついていたので、甘えさせてくれたり、話相手になってくれたり手紙をもらったりと、とても楽しく過ごしていた。消灯時間になっても違う病室に集まって遊んでいて看護師さんによく叱られたのは、今となっては良い思い出である。

一番嫌だったのは食事の時間。透析食は病院食の中でも一番薄味で美味しくなかった。喘息の子にはお味噌汁がついたり、牛乳がついたり、バナナがついたりで、羨ましかった。食事はいつもひとりでごはんにふりかけだった。たまにこっそりおかずをくれる子もいた。


学校と透析施設での日常

退院後の学校生活は、なるべく普通の子供たちと一緒に…という両親の考えもあり、地元の小学校に通った。
体育はいつも見学し、給食はお弁当を持って行って食べていた。友達からは、学校は早退するし、お弁当だしで「いいな」と言われていたが、気にすることなくみんなとは仲良くやっていた。

小学6年生時の修学旅行は、学校側が「何かあったら責任が持てない」とのことで、家族でみんなの修学旅行の後を着いていく形で連れて行ってもらった。今思えば両親にはとても感謝しているが、わたしにとってはこれがあたりまえだった。

透析施設で子供はわたし一人だったため、スタッフはもちろん患者さんからも優しくしてもらった。特に臨床工学技士さんには、勉強を教えてもらったり、宿題をしてもらったり、工作をしてもらったりと学業面でとても助けてもらった。今思えば、穿刺や不均衡症候群で苦労したものの、スタッフの方々には身体的・精神的負担の軽減に尽力して頂いていたのだと思う。本当に有難い。


幼心に親に思ったこと

病気の説明は、医師より「汚くなった血を綺麗にするね」とあったのを覚えている。
その他に特に説明はなかったが、同じ病気の人が亡くなるのを見て、わたしも死ぬのかもしれないと幼心に感じていた。

わたしは病気だから親には普通の子供よりも心配をかけている。健康だったら病院に連れて行ったり、付き添ったりしなくてすむのでは?「親にもやりたい事あっただろうにと、わたしのせいでできないでいる」と親に申し訳ない気持ちもあった。特に母親は、いつもわたしの隣にいた。入院中、透析中いつも一緒にいて笑ってくれていた。お陰でわたしは楽しかった。

これ以上余計な心配や悲しい想いをさせないように、嫌がらす病院や学校に行き、前向きに明るく強く生きる事で親を安心させたかった。何かあってもひとりで解決しようとし、親の言うことを聞くことがわたしが親のためにできることだと思っていた。そんな考え方が当たり前な子供だった。

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もあぞう

もあぞう
小学3年生で透析導入し、中学1年で献腎移植を東京で受ける。移植後10年で透析再導入になり今年で25年。自分がされて嬉しかったことを患者さんにしてあげたいと看護師の資格を取得。
2002年詩集『ぞうに咲くひまわり』、2012年絵本『もあのきもち』、2014年詩集『ぞうの恩送り』書籍出版。看護師として働いたのち、現在会社員。余暇はペーパークイリング、自然を眺めたりしながら、創作活動に励んでいる。

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