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質の高い睡眠とは? 腎臓病・透析患者さんが意識したいこと

2020.10.5

文:s.yuri

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監修: 宮本 研 先生 (腎臓専門医・透析専門医・総合内科専門医)

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日本各地で猛暑日が続いた今年の夏。9月下旬に入っても西日本を中心に最高気温が30度近くまで上る地域がありましたね。徐々に涼しくなってきましたが、「最近寝ても体が疲れている」と悩んでいる方はいませんか? 特に透析患者さんには、日頃から不眠に悩んでいる人が少なくありません。これに夏の疲れが追い打ちとなって、慢性的な不眠が深刻化する恐れや、新たな体調不良につながる可能性もあります。一度、じっくり自分の睡眠を見直してみませんか?


睡眠不足・睡眠過多はCKDの発症と透析のリスクに

睡眠障害はホルモン分泌や自律神経機能に影響を及ぼすため、高血圧や糖尿病などの生活習慣病の罹患リスクを高め、さらに症状を悪化させます。慢性腎臓病(CKD:chronic kidney disease、以下 CKD)は生活習慣病と深く関係しているために、かねてから睡眠不足や睡眠リズムの乱れがCKDの発症リスクを高めると言われていました。しかし近年では、CKD患者さんにおける、睡眠と腎機能低下の関係性についての研究が進んでいます。

2011年、大阪大学の研究チームは5時間以下の短時間睡眠が蛋白尿のリスク因子であると発表しました。そして2018年には、5時間以下の短時間睡眠または8時間以上の長時間睡眠のCKD患者さんは、その後に透析に至るリスクが高まると発表しました。
この研究では、CKD患者さん1601人に対して睡眠に関するアンケートを行い、4年間の追跡調査を実施しました。その結果、透析に至るリスクは約7時間睡眠の患者さんと比べて、短時間睡眠の患者さんは約2.1倍、長時間睡眠の患者さんは約1.5倍に高まることが判明したのです。加えて睡眠の質が低い患者さんは、睡眠の質が正常な患者さんよりも1.3倍透析に至るリスクが高くなると分かりました。


日本人は睡眠時間が世界ワースト1の短さ!

OECD(経済協力開発機構 :Organisation for Economic Co-operation and Development)などが2018年に行った調査によると、日本人の睡眠時間は平均7時間22分で、33カ国中ワーストでした。また、厚生労働省が実施した「平成30年国民健康・栄養調査」では、1日の平均睡眠時間で最も多かったのは「6時間以上7時間未満(34.6%)」で、「7時間未満」の割合は全体の72.5%に上ったのです。具体的には、50代女性の「5時間以上6時間未満(41.7%)」が最多で、ミドル世代女性の睡眠不足が目立ちました。

世界的にも睡眠不足な日本人ですが、CKD患者さんはより睡眠障害に陥りやすいのです。
2020年に早稲田大学などの研究グループが発表した研究では、CKDが体内時計を乱れさせること、さらに体内時計の乱れが腎機能のさらなる悪化を招くことが示唆されました。体内時計の乱れが生じたCKDモデルマウスは、尿中クレアチニン値低下や血清尿素窒素上昇などの腎機能マーカーの悪化と、炎症・線維化マーカーの悪化がより顕著でした。


じんラボ会員さんも睡眠に悩みがち? アンケート結果公表!

先日実施した「ちょっと教えて~! じんラボアンケート」では、睡眠についてのアンケートを実施し、40名の方から回答をいただきました。

平均睡眠時間で最も多かったのは、「5時間以上6時間未満(19名)」で、次いで「6時間以上7時間未満(10名)」、「5時間未満(8名)」でした。最近の睡眠満足度は「どちらかというと不満」が17名と最多で、「満足」と答えた人は最少の4名でした。
睡眠の満足度が低い方が該当する睡眠の悩み(複数回答可)としては、「眠りが浅く、睡眠時間の割に寝た満足感が得られない(16名)」、「寝付くまで時間がかかる(15名)」、「夜に何度も目が覚める(10名)」が多く見られました。

睡眠に関する悩みの原因は、以下のような声が挙がりました。

「シャント肢のテープかぶれと、アレルギー咳がひどいため。透析近くなって、トイレに何度も起きたり身体がだるくて眠れなかったりして以降」
(50代女性/愛知県/透析歴1年未満)

「透析中に熟睡してしまうから」
(60代女性/宮城県/透析歴3~5年)

「夕食後透析をするため寝てしまうため、透析後の痒みのため」
(60代女性/東京都/透析歴11~20年)

「透析後の頭痛がひどくなってきています。薬もあまり効きません」
(50代女性/福島県/透析歴1年未満)

悩みの原因はもちろん人それぞれですが、このアンケートでは透析がきっかけでしっかり眠れなくなったという声が目立ちました。

一方「満足」と答えた方の意見を見てみると、早寝早起きや日中体を動かすことを意識して、夜ぐっすり眠っていると回答された方がそれぞれ4名でしたが、最多だったのは「特に対策はしていない(6名)」でした。


質の高い睡眠とは?

睡眠はただ長ければいいものではありません。厚生労働省は、以下のような睡眠や行動がとれると「質の高い睡眠」であると評価しています。

  • 睡眠と覚醒のサイクルが規則正しく、昼夜のメリハリがはっきりしている
  • 睡眠中に覚醒することが少なく、安定して眠れる
  • 就寝から入眠まであまり時間がかからない(※ただし就寝から入眠まで数分以内と極端に短い場合は睡眠量不足の可能性がある)
  • 寝起きはすっきりしていて、スムーズに行動できる
  • 睡眠の満足度が高い
  • 必要な睡眠時間が確保でき、日中に過度の眠気や居眠りは生じない
  • 日中は過度の疲労感がなく、満足度が得られる

睡眠は、浅い「レム睡眠」と深い「ノンレム睡眠」から構成されており、入眠から2~3時間後に熟睡モードのノンレム睡眠の状態になることが睡眠の質を上げる鍵です。細胞修復や疲労回復作用のある成長ホルモンは、ノンレム睡眠中に多く分泌されます。


夜ぐっすり眠るためにやりたいこと

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夜しっかり眠るためには、寝る直前だけでなく意識して行いたいことは朝からあります。

  • 朝起きたら太陽の光を浴びる
  • 朝ごはんをしっかり食べる

睡眠と深いかかわりのあるメラトニンというホルモンは朝起きてから約15~16時間後に分泌され、眠気を生じさせます。日光を浴びることで身体をしっかり覚醒させることができ、睡眠リズムが整いやすくなります。また、朝ごはんを食べることで体や頭にエンジンがかかり、体内時計を整えることができます。


  • 夕食は就寝3時間以上前に済ませる
  • 夕飯は体を温めるものを摂る
  • 就寝前3~4時間以内のカフェインは控える
  • アルコールは就寝2時間前までにする
  • 就寝1~2時間前にぬるめ(40度程度)のお湯でシャワーを浴びるか、入浴する

就寝直前の飲食は、食べ物の消化にエネルギーが使われるため体がしっかり休めません。カフェインは入眠を妨げて睡眠を浅くし、適度なアルコールは途中覚醒の原因になります。いずれも利尿作用があるため、夜中に尿意で目が覚める可能性が高まります。

眠気は体温が下がる過程で訪れます。夕飯に温かいものを食べ、ぬるめのお湯で入浴することで体温が少しずつ下がります。ぬるめのお湯での入浴はリラックス効果で入眠しやすくなる効果もあります。熱めのお湯は交感神経が刺激されるだけでなく、体温が上がりすぎて目が覚めてしまうので控えましょう。


就寝前

  • スマホやパソコン、テレビを就寝直前まで見る・操作するのをやめる
  • 寝る前の考え事や、就寝時間だからと無理に眠ろうとするのを控える
  • 布団の上でストレッチなどをして心身ともにリラックスさせる

スマホやテレビの画面から出る光は、視覚を通じて脳を覚醒させてしまいます。光の刺激は体内時計に一番強く作用するとされており、就寝ギリギリまでスマホなどを見ると脳が日中であると錯覚してしまいます。

夜に考え事をするのは控えましょう。脳がリラックスできませんし、夜遅くの考え事はネガティブに考えがちです。ストレッチなどで軽く体を動かしながら心身ともにリラックスしましょう。


寝室の環境

  • エアコンなどを活用して、寝室の温度・湿度を快適にする
  • 季節や体に合った適切な寝具を選ぶ
  • 自然の音が含まれた「1/fゆらぎ」というヒーリングサウンドなどを流す
  • 寝室の照明には暖色系の電球を使用する

室温26度、湿度50~60%にすると快適に過ごせ睡眠の妨げになりません。寝具の工夫も大切です。夏は接触冷感素材、冬は軽くて柔らかい羽毛布団、自分の体に合った枕を選ぶなど寝具へのこだわりが心地の良い睡眠を促します。

完全無音は緊張状態が高まるため、小さな物音でさえも覚醒しやすくなります。何か音を流す場合は、睡眠を阻害する人の声が入ったテレビやラジオ、歌詞の入った曲などは要注意です。電球の色味も意識しましょう。青白い光や白っぽい光は強い覚醒作用があるので、暖色系を選ぶのがおすすめです。

【執筆後記】

じんラボで実施した睡眠に関するアンケートに寄せられた意見を見てみると、睡眠に対する満足度は「不満」「どちらかというと不満」と答えた方が6割以上でした。しかし、中には「家ではゆっくりと眠れない。透析中はベッドで1人の時間を過ごせるため、寝られる時(透析中)にしっかり寝たい」(50代女性/東京都/透析歴11~20年)という意見もあり、生活リズムや環境によって睡眠のとり方は大きく変わるものだと改めて感じました。

睡眠は「今日の終わり」だけではなく「明日のスタート」でもあります。今回ご紹介した対処法は複数ありますが、無理して取り入れようとせずに自分の生活習慣に合ったものから1つずつ試してみてください。

少しでもいい睡眠をとって、次の日の活力にしましょう!

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s.yuri

s.yuri
じんラボのライター。大学卒業後、地元紙で主に教育や警察、司法、スポーツ、地域ネタを追いかける社会部記者として働き、その後夫の転勤に伴いゆるいフリーランスでライター・編集者として活動してきました。
学生時代から医療福祉に関する執筆に関わりたいと思っていたのが、十数年の時を経てじんラボでご縁をいただました。透析や腎臓病の勉強を重ね、少しでも元気の出る情報をお届けします。

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