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知っトク? こんな事〜患者・家族のお役立ち情報【第50回】
透析患者の災害対策
~事前準備と心構え~

2025.11.4

文:アスペクト比P

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日本は、地震や台風など、さまざまな災害が起こりやすい「災害列島」です。
通院が必要な透析患者にとって特に重要な災害対策を、「事前準備」と「被災時の心構えと行動」の2つに分けてご紹介します。

今回は透析患者を例としますが、定期的な薬の服用が必要な慢性腎臓病患者にとっても日頃の備えや医療者との連携が重要です。対策や心構えの参考にしてください。

透析患者の災害対策

事前準備(平常時の備え)

災害時は透析施設が被災し、透析が一時的に受けられなくなることがあります。人命救助のタイムリミットとされる「命の72時間」を自力で乗り切ることを目安に準備しておきましょう。

1. 情報・連絡体制の確認

  • 主治医・透析施設の緊急連絡先(病院・担当医・家族・地域の保健センターなど)を控えておく
  • 透析手帳(自分の透析条件が記載されたもの)を常に携帯する
  • 透析施設によっては年1回のペースで透析条件のメモを患者に配布している場合もある。施設に許可を得て、透析条件データを携帯電話のカメラで撮影しておくのもおすすめ

2. 備蓄品の準備(最低でも3日分、できれば1週間分)

  • 飲料水:1日500〜1000mL(主治医の指示量を確認して準備)×3日分
  • 非常食:低カリウム・低リン・低塩の缶詰、ゼリーなど
  • 薬:予備として薬を1週間分、避難時バッグに入れておく
  • 各種手帳・証明書類:保険証(各種医療証を含む)、お薬手帳、透析手帳、障害者手帳
  • 便利グッズ:モバイルバッテリー、懐中電灯、ラジオなど

3. 自宅の安全対策

  • 在宅血液透析機器は、転倒防止策を徹底する
  • 停電・断水に備え、発電機や予備電源、水タンクなどを確認しておく

4. 災害時の透析指導(3日間節制透析)を理解する

透析が中断した際は、以下の3点を意識しましょう。キーワードは、「うす味・少なめ・少しだけ水分」です。

  • 水分制限を厳守
  • 塩分を控える(味付けを薄く)
  • カリウム・リンの多い食品(バナナ、牛乳など)を避ける

被災時の心構えと行動

1. 心構え

「慌てない・焦らない・節制する」を意識して行動しましょう。特に、被災直後の72時間は透析が受けられないことを想定し、限られた水や食料を計画的に使うことが大切です。

2. 行動の流れ

1)安否確認と情報収集
  • 自分と家族の安全を確認
  • 携帯ラジオやスマートフォンなどで災害情報を確認
  • 透析施設や災害発生時の支援を事前に登録している場合は、指定されている市町村の災害対策本部や対応窓口に連絡する
2)必要書類を持ち出す
  • 透析手帳・お薬手帳・マイナンバーカード・健康保険証・障害者手帳はすぐに持ち出せるようにしておき、避難バッグに入れる
3)医療機関への連絡・相談
  • まずは日ごろ受診している透析施設に連絡し、施設からの指示に則って行動する
  • いつもの通院手段が使えない場合に備え、別ルートや代替交通手段を想定しておく
4) 透析再開までの節制行動の徹底
  • 水分・塩分・カリウムをできるだけ制限する
  • 呼吸困難やむくみ、胸の圧迫感などが出たら、すぐに医療者に連絡する

まとめ:透析患者の災害対策

1. 事前準備が命を守る
→ 最低3日間分の水・食料・薬・情報を確保

2. 透析手帳・緊急連絡先は常に携帯

3. 被災時は「慌てず・節制・情報収集」

4. 必ず透析施設に連絡し、自分の状態や被災状況を伝える

5. 透析再開まで「72時間の節制」を実践

この流れを、ご自身だけでなく家族とも共有しておくと、被災時に慌てずに行動できます。
今後、南海トラフ地震などの大規模災害の発生も予想されています。「いつか起こるかもしれない」と考えて、日常生活の中でも心構えと共に、できる準備をしておくことが重要です。


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アスペクト比P

アスペクト比P
中国地方に住むオタク系透析患者。 20歳の時にIgA腎症と診断され、忙しさにかまけて6年間ほぼ治療をしないまま放置してしまい、27歳の時に透析導入。今年で透析導入16年目、透析病院での仕事と透析に趣味に透析患者会のお手伝いと走り回っています。

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