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透析と視覚障害

【第3回】情報の獲得

2021.6.14

文:ミーナ

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今回と次回の2回にわたって、視覚障害に伴う2つの困難と、それを補う仕組みや方法についてのお話をします。今回は「情報の獲得」についてです。
さて、ちょっと想像してみてください。皆さんの目が悪くなったら、どんなことに不便を感じますか?テレビが見れない、新聞や本が読めない、家族や友人の顔が見られない、美しいものや面白そうなものが見られない…。まあ、挙げればきりがないですよね。


プリントディスアビリティと情報のバリアフリー

視覚障害に伴う最大の困難の一つが、読み書きができないことです。
ん?みーなはパソコンでこの原稿を書いているじゃないか!と思われた皆さん、見出しをもう一度よく見てください。「プリントディスアビリティ」とありますね。あまり聞き慣れない言葉かもしれませんが、ディスアビリティ(disability)の直訳は「能力障害、不自由」などという意味ですので、早い話、活字による印刷物が読めない人々ということです。
視覚障害者を中心とした読み書きに問題がある人たちが「自分たちのように読み書きのできない人間にも勉強や仕事の機会を与えてほしい」と情報のバリアフリー化を求める運動があります。

さて、視覚障害者の文字というと点字を思い浮かべる方が多いと思いますが、これも第2回でお話しした全盲と弱視の割合と同じで、点字を常用文字にしている視覚障害者は少ないのが現状です。
また、年を取ってから点字を習い始める方もいますが、先天盲の方のようにスラスラ読めるようにはならず、多くが外国人が覚えたての日本語をゆっくり読むくらいのスピードでしか読めるようになりません。そのため、長編小説を読んだり資格試験を受けたりなど、実用的に点字を利用できる方は視覚障害者の1割 にも満たないと言われています。

それでも、少しでも点字を読むことができれば、エレベーターの階数や駅の階段の手すりに書かれている番線と行先表示、公共施設での点字の案内板くらいは分かるようになりますし、一人暮らしであれば公共料金の明細書などを点字で発行してもらうこともできるので、大人になってから点字を習うことが全くの無意味というわけではありません。


代読・代筆の活用

点字を最低限読めたとしても、やはり実用的な読み書きができないのは大変なことです。
そのため、大人になってから目が悪くなり、普通の文字が読みにくくなってきた人は、ホームヘルパーさんによる家事援助などで代読・代筆のサービスを利用することになります。
ホームヘルパーさんの利用と言うと、高齢者が掃除や洗濯などの家事、重度の身体障害の方の着替えや入浴などの介護のイメージが先行しがちですが、視覚障害者に対する支援として郵便物のチェックと文字処理の項目がちゃんとあるのです。

弱視でまだ自分で読み書きができそうだという方は、第2回で紹介した弱視補助具を使ってみると良いでしょう。高倍率のルーペや電子ルーペ、単眼鏡という遠用レンズなどが代表的です。障害者手帳を持っている方は、このような特殊器具を補装具、または日常生活用具としてお住まいの市町村の福祉課に申請すれば、助成(補助)が受けられます。

ヘルパーさんを頼むほどでもないものの、自分での読み書きが大変だという方には、図書館の対面朗読サービスを利用することができます。とは言え最近は新型コロナウイルスの影響で閉館や時間短縮しているところが多いのですが…。
この対面朗読は、公立の大きな図書館や全国に77箇所ある視覚障害者のため点字図書館で利用することができます。基本的には本の朗読がメインですが、新聞や雑誌の他郵便物を持ち込んで読んでもらっている方もいます。多くは予約制で、毎月の利用回数や1回の利用時間数など、図書館によって細かい規定があります。


ICT(情報通信技術)機器の活用

例え目が見えなくなってしまい、点字も普通文字も使えなくても、誰かが読み書きの杖になってくれれば、日常の読み書きで困るようなことはなくなるでしょう。
ただそうは言っても、ヘルパーも対面朗読も時間的な制約があるので、好きな時に知りたい情報を手に入れる手段としては不向きですし、守秘義務があるとはいえ、他人にどうしても知られたくない情報については何としてもやはり自力で処理したいでしょう。
病院でもらってきた検査結果を他人に見せるのに抵抗を感じるという方もいるでしょうし、検査結果はまだ良しとしても預金通帳を人に見せても平気だという方は少ないと思います。

そこで、人海戦術である代読・代筆サービスの利用と併せて考えておきたいのは、テクノロジーの利用です。
パソコンを使う方であれば、スキャナーとOCRソフト(画像から文字を読み取るソフト)を用意すれば、紙に書かれた文字をパソコンにスキャンしてスクリーンリーダーで読ませ、弱視者なら画面を拡大して自分の目で確めることができます。

また、最近はタブレット端末で使えるOCRや文字拡大のアプリ開発が進み、ICT機器が苦手な方やパソコンを持っていない方でも気軽に利用できる、簡単な読み上げ機器なども登場してきています。これらの機器やソフト類も、自治体によっては助成(補助)対象となっています。

さて、こうやって身の回りの書類がなんとか処理できるようになってくると、欲が出てくるものです。
もしもあなたが透析を始めたばかりであれば、透析について調べたいでしょうし、腎臓移植を希望しているのであれば、移植について調べたくなるはず。そのような知識欲というのは、目が見えていようがいまいが同じことです。

ネット社会の現代では、皆さんはとりあえずインターネットで色々と検索するかと思います。目が見えない私も、スクリーンリーダーを使って「じんラボ」を見つけましたし、全腎協や日本透析医会のウェブサイトからさまざまな情報を得ています。もちろん個人のブログなどを見ることもありますが、情報に偏りがあったり個人の主観が強く反映されていることもあるので、公式な団体のものと一緒に見て考えるようにしています。


インターネット図書館の活用

ある程度ネットで情報収集ができるようになると、今度は関連書籍を読みたくなってきます。まだ普通文字を読める弱視の方は、拡大鏡などを利用しながら普通の本を読めば良いのですが、それでも分厚い本などは目が疲れてしまって内容が頭に入らず、文字を追うだけで精一杯になってしまうこともあるでしょう。

点字図書館には点字図書が蔵書されていますが、中途視覚障害の方が点字図書を読みこなすのは難しいので、全盲弱視問わず、中途視覚障害の方は録音図書が扱いやすいと思います。点字図書館には録音図書も多数あり、遠方の方向けに郵送で本の貸し出しを行ってくれます。

ただ、点字図書館は一般の図書館に比べて蔵書が少ないので、ネット環境があれば、「サピエ図書館」の方をお勧めします。これは、障害者向けの会員制インターネット図書館で、視覚障害者を中心に、重度の身体障害や難病などにより一人での外出が難しい人たちのために作られたさまざまな情報を提供するネットワークです。

障害者手帳を持っている方は無料で会員登録ができ、資料はいくらでも無料で読めます。インターネットの通信料だけはかかりますが、ここから読みたい本をSDカードなどにダウンロードすれば何度も読むこともできます。

使用する端末は、パソコンやスマートフォン、タブレットなどインターネットに接続できるものなら何でも構いません。資料の形式はMP3形式の録音図書が主体ですが、活字テキスト図書もあります。私はよくここから録音図書をダウンロードして、透析中に読んで(聞いて)います。

ちなみに、「透析」や「腎臓病」に関する本としては、患者さんの闘病記録や医療ジャーナリストの書いたもの、医療従事者がまとめたものなど色々ありました。いずれは「患者がつくった透析のほん」もサピエに入るといいなぁ。

次回は視覚障害者のもう一つの困難である「移動」についてお話しします。

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ミーナ

ミーナ
1990年9月生まれです。生まれつき、先天性緑内障という目の病を持っており、幼い頃から弱視で現在はほとんど見えていません。腎臓は2017年に急な体調不良から緊急透析導入となり、今に至ります。原因は不明です。視覚と腎臓の重複障害ですが、日々楽しく生活しています。
趣味は読書で、4時間の透析中に1〜3冊くらいは読んでしまうかなりヘビーな読書家です。

    こんな体験談が読みたい、私も体験談を書きたいなど、「研究員のはなし」にご意見をお寄せください!

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