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透析と視覚障害

【第7回・最終回】まとめ~ さまざまな福祉サービスと当事者としての意識

2022.2.21

文:ミーナ

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今回は、連載の最終回として、視覚障害に認定された人が受けられる福祉サービスや助成してもらえる機器、関連団体などについてご紹介します。
なお、ここに挙げるサービスや機器類のすべてが全国的にどこでも利用できたり助成が受けられるとも限りませんので、詳細はお住まいの自治体の担当課にお問い合わせください。


視覚障害者が受けられる福祉サービスなどの一覧

利用できるサービス

■読み書きの支援
  • ホームヘルパーによる郵便物チェックおよび代読・代筆支援
  • 公立図書館での対面朗読サービス
  • 公共料金などの展示明細書の発行
  • 国勢調査など行政アンケートの代筆または点字回答
  • 市議選から国政選挙までの選挙投票における点字投票または代筆投票
  • 中途失明者緊急生活訓練事業内の点字教室・パソコン教室・スマホ教室など
  • 点字または音声図書の郵便貸し出しサービス
  • 障害者向け会員制インターネット図書館(サピエ図書館)
■移動の支援
  • ガイドヘルパー(移動介護従事者)サービス
  • 通院介助
  • 中途失明者生活訓練事業の中の歩行訓練事業
  • 盲導犬の貸し出し(ただし管理は利用者責任)
■家事の支援
  • ホームヘルパーによる家事援助(炊事・洗濯・掃除・買い物代行など内容は多岐にわたる)
  • 中途失明者生活訓練事業内の料理教室など
■その他の支援
  • イベントやサークル活動など(各都道府県の視覚障害者関連の協会が主催)

助成対象となっている機器など

■読み書きの支援
ICT機器
  • パソコンに搭載する音声読み上げソフト(スクリーンリーダー)
  • パソコンに搭載する画面拡大ソフト(ズームテキスト)
  • その他のパソコンで利用できる視覚障害者支援ソフト
    ※パソコンそのものは助成されませんのでご注意ください。
  • 録音図書専用再生機械(プレクストーク)
  • 活字読み上げ機械
  • 音声拡大読書器
点字の筆記用具
  • 点字盤
  • 点字タイプライター
  • 点字ディスプレイ
弱視者のための支援機器
  • 光学ルーペ、電子ルーペ(拡大読書機)
  • 単眼鏡
  • 弱視眼鏡など拡大鏡
■移動の支援
  • 白杖
  • タクシーの割引券
■家事の支援
  • しゃべる家電(体重計・血圧計・体温計・IHコンロ・電子レンジ・炊飯器・テレビ・エアコン・時計など)
    しゃべる家電は高額なので、原則一人暮らしの人限定という自治体が多いのですが、高齢者のみの世帯や、夫が視覚障害で妻が認知症などの場合は認めてもらえるケースがあります。一人暮らしではない人でも、必要に応じて交渉してみると良いでしょう。

関連団体

社会福祉法人 日本視覚障害者団体連合(日視連)
一般社団法人 全日本視覚障害者協議会(全視協)
日視連は、かつて「日本盲人会連合」という名称でしたが、視覚障害者の7~8割強が弱視者で占められているという現状もあり、2019年に名称変更されました。全視協の会員の方は、子ども時代を一般の学校で過ごした人が多い印象があります。じんラボをご覧になっている目が悪い人は、ほとんどが大人になってからだと思うので、「日視連」よりも「全視協」の方が馴染めるかもしれません。
社会福祉法人 日本盲人社会福祉施設協議会(日盲社協)
視覚障害者のための事業を行う福祉施設や事業者の団体です。
生活訓練や歩行訓練を行う施設や、点字図書館、視覚障害者のための機器類の製造販売をしている会社、視覚障害者専用の福祉施設などで構成されています。
特定非営利活動法人 全国視覚障害者情報提供施設協会
サピエ図書館を運営している団体です。サピエ図書館については「【第3回】情報の獲得」をご覧ください。
社会福祉法人 日本点字図書館
点字の本だけでなく録音図書も多数あります。施設内にある用具売り場では、杖やしゃべる家電、パソコンソフト、ルーペ、点字の筆記用具などを買うことができます。
日本弱視者ネットワーク
日本ロービジョン学会
「視覚障害=盲人」という社会一般のイメージから、ついつい忘れられがちな弱視者の社会的な問題について話し合う団体です。
一般社団法人 日本福祉のまちづくり学会
高齢者や障害者が安心して生活できる街の環境整備について研究する学会です。
株式会社高知システム開発
視覚障害者を中心に、高齢者や障害者のためのパソコン操作支援ソフトの開発、製造、販売を行っている会社です。私の使っている支援ソフトも、大体ここで買ったものです。
国立障害者リハビリテーションセンター
中途失明者緊急生活訓練事業は各都道府県ごとにありますが、よりみっちり訓練したい人は、ここに行くと良いでしょう。
自宅からの通所もできますが宿舎もあり、半年や1年ほどじっくり時間をかけて歩行や点字、パソコン、家事全般など総合的な訓練が受けられます。敷地内には総合病院、施設内には医務室があるので、持病を持つ人にはありがたい施設です。

当事者を自覚し、準備して、自己管理する重要性

さて、7回にわたるこの体験談はいかがだったでしょうか?
目が悪くない人にはあまりおもしろくも何ともない内容だったと思いますが、現在、目の不調を感じていたり、何らかの目の病気と診断されていたりする人には、少しでも参考になればと思いお話しました。

そもそもは、目を使わない透析の自己管理ってどうやるんだろうという疑問がきっかけですが、目が悪い透析患者はそれなりにいるのに、方法は誰も知らない上に教えてももらえない、という現状がこの連載の動機となりました。
推察するに、中途失明はよほど大変なのか、目が悪くなってしまった時点で自己管理などが面倒くさくなってしまい、他人に丸投げし、自分では何もやらなくなってしまう人が多いのではないか? そのため、自己管理の方法を共有するという発想をする人があまりいなかったのかもしれません。

透析患者は高齢者が多いので、自己管理をあきらめてしまうのはある程度は仕方ないとは思いますが、中高年や若い人はそれではダメな気がするのです。目が悪くて外に出るのが怖いからと言って、ずっと家に引きこもっていたら、体力が衰えてしまうでしょう。
「目が悪いのだからしょうがない」と言って、調味料をじゃんじゃんかけてご飯を食べていれば、保存期の人はあっという間に透析になってしまうかもしれませんし、他の病気を併発してしまうかもしれません。

ICT技術が発達しても視覚障害は情報障害という特性は今も昔も変わらないので、目が見えなくなってからでは、一人ではどこへも行けず、必要な情報を得るまでには時間も労力も目が見えている人の何倍もかかることになるのです。
現在何らかの眼病を診断されていて、治る見込みがなかったり、悪くなる可能性がある人は、少しでも見えているうちに必要な情報を知っておいた方が、いざ自己管理や自己対処が必要な状態になっても、すぐに実行することができるのではないでしょうか。

今回はできるだけ腎臓病や透析に関連すると思われるものを取り上げてご紹介しましたが、もっと詳しいく知りたい方は、この記事で取りあげた関連団体のウェブサイトを参照してみてください。

以上、この連載体験談「透析と視覚障害」で目を使わない透析生活についてあれこれとお話ししました。最後までご覧いただきありがとうございました。

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ミーナ

ミーナ
1990年9月生まれです。生まれつき、先天性緑内障という目の病を持っており、幼い頃から弱視で現在はほとんど見えていません。腎臓は2017年に急な体調不良から緊急透析導入となり、今に至ります。原因は不明です。視覚と腎臓の重複障害ですが、日々楽しく生活しています。
趣味は読書で、4時間の透析中に1〜3冊くらいは読んでしまうかなりヘビーな読書家です。

    こんな体験談が読みたい、私も体験談を書きたいなど、「研究員のはなし」にご意見をお寄せください!

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