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【第45回】透析患者さんの夏の水分補給
2020.8.24
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例年よりも長い梅雨がやっと明けたと思ったら、情け容赦のないカンカン照り…。日焼けでヒリヒリする腕を感じながら仕事の毎日です。
こんな時期の私たち透析患者にとっての悩みのタネは、水分補給の量とタイミングですね。看護助手という仕事は常に走り回るため、ちょっと動くだけで汗だくになります。ところが透析日は仕事の時ほど動かないので、いつもの調子で水分を取ると透析の際に頭を抱えるほど体重が増えてしまうなんてのは私だけですかね。
夏の我慢強さは危険!
汗の量と水分補給のバランスは悩ましい問題ですね。水分制限を頑なに守り、「エアコンは寒いから」と言って暑さを我慢した結果、室内で熱中症や脱水に陥ってしまう高齢の透析患者さんの例をチラホラと聞くこともあるので、何事も程々がいいのでは考えています。
汗をかくと体内の塩分が排出されますが、体に影響がない範囲で水分量をコントロールするのはなかなか難しいものです。
脱水症で体内の水分・塩分バランスが崩れると、熱中症を誘発するリスクが高まります。特に高齢の方は喉の渇きが感じにくくなるため水分摂取量が少なく、より注意が必要だと言われています。脱水症は軽度で頭痛や倦怠感等の症状が現れます。症状を見逃さないよう気をつけましょう。
水分補給に適した飲み物とは
水分補給は大事! とは言え、カフェインやアルコールが入ったものやエナジードリンクなどの清涼飲料ではきちんとした水分補給とは言えませんのでご注意を!
のどが渇いたときに冷えたビールなんてたまらんものがありますが、アルコールを肝臓で分解する際、更に体内の水分を使ってしまうのでかえって脱水症状を加速させてしまう恐れがあるのです。
飲むなら水もしくはスポーツ飲料がおすすめです。ただし、スポーツ飲料は商品によっては塩分やカリウム量が多いので、飲みすぎには注意しましょう。また、夏場によく目にする経口補水液は、あくまでも脱水症や熱中症を発症した際に使うものですし、塩分が多いので普段の水分補給にはあまりおすすめされていません。小型の水筒に水やカフェインを含まない麦茶などを入れて、水分管理をするのが良いのではないでしょうか。
ストレスや我慢は厳禁! 無理せず夏を乗り切る工夫を
水分補給からは話が逸れますが、もう一つ、夏のストレス対策に関する大事なお話をします。
この時期の透析室や入院病棟では、動き回るスタッフは暑くて汗だくなのに、患者さん側はエアコンが効いて寒くて仕方がないというアンバランスな状態が発生しがちです。
外はうだるような暑さなのに、建物の中で体が冷えてしまっては体調を崩しかねませんし、知らず知らずのうちにストレスとなってしまう恐れもあります。透析患者さんは体温調節機能が低下しているため、暑い日でも体温調節できるよう羽織ものを持参するなどの対策を立てましょう。
また最近、「透析導入から年数が経過して無尿となったため、さらに水分制限を厳しくせざるを得なくなり、患者さん本人や家族のストレスにつながっている」…という相談を受ける機会が増えてきたような気もします。
夏は水分制限に熱中症対策と気にすべきことが多いですが、体はもちろん心の余裕を持つためにも、透析患者さんだけでなく、ぜひご家族の方も「透析ライフガイドブック『患者がつくった透析のほん』シリーズ」を読んで透析のことを知っていただくと良いと思います!(…とダイレクトマーケティング)
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