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透析と視覚障害

【第4回】安心・安全な移動、
視覚障害者にとってのコロナ禍

2021.8.23

文:ミーナ

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今回は、視覚障害に伴う2つの困難のうちのもう1つの「移動」について取り上げます。
最近、視覚障害者が駅のホームから転落して死亡するという痛ましい事故が全国ニュースで報道されることが多くなりましたが、何も近年になって落ちるようになったというわけではありません。昔はそういう報道がなかったというだけで、転落事故自体は各地で起きていました。
なお、国土交通省が視覚障害者に聞いた「ホームからの転落に関するアンケート」によると、回答者の3~4割が転落経験があると答えたそうです。


ガイドヘルパー(移動介護従事者)

そんな話をしてしまうと、進行性の眼疾患をお持ちの方は恐ろしくなりますよね。これ以上目が悪くなったら一人で出かけるのは怖いし、透析に通うのも命がけになりそうだな…と。

透析に関しては、送迎のある病院を選ぶことで毎回怖い思いをして通院するストレスからは解放されるでしょうが、それ以外の通院や日常の買い物、銀行や郵便局、役所に行くときなどは、やはりどうにかしなければいけません。
ご家族に送り迎えや付き添いをしてもらえる状況ならそれで結構ですが、一人暮らしの方や、家族と一緒に住んでいる方でもそのようなサポートが受けられない状況の場合、ガイドヘルパー(移動介護従事者)サービスを利用するのが最も安全でしょう。同行援護従業者養成研修を受け、専門的な資格を持ったヘルパーさんが外出の付き添いをしてくれます。

全国各地にある高齢者向けの居宅介護支援事業所がこのサービスを提供していることが多く、事前に利用者として登録する必要はありますが、通院、買い物、役所や銀行での手続き、また散歩や集会、イベントに観光など、ありとあらゆるところに付き添ってくれます。毎月の利用上限時間は自治体によって異なりますが、多いところで月60時間程度です。
なお、最近は新型コロナウイルスの影響で、通院のみ、日常の買い物のみなど利用条件に制限をつけている事業者があるほか、感染を恐れて辞職してしまうヘルパーさんもいるので、イベントや観光は新型コロナウイルスが収束するまでは難しいと思います。

あと、よく誤解されているのですがガイドヘルパーは弱視の方でも使えます。知的障害や重度の身体障害など、視覚障害に限らずあらゆる障害の方が利用できるようになっています。


白杖歩行と盲導犬歩行

情報の獲得と同様に出歩くときも人海戦術ばかりに頼っていられないということもあるでしょう。ガイドヘルパーには利用上限時間がありますし、誰かと一緒でないと外出できないということは、突然何か欲しいものがでたり、出かけなければいけない用事ができてしまった時に困ることになります。

突然の外出が必要になった場合、近所のスーパーやかかりつけの病院くらいは一人で行きたくなるものです。
視覚障害者が一人で出歩くときには白杖か盲導犬を使うことになります。これもよく誤解されていますが、弱視の方でも危険だと思ったら迷わず使ってください。冒頭で述べたホーム転落事故は全盲者ばかりでなく、強がって杖を持たずに出歩いていた弱視者が転落してしまった事例もたくさんあるのです。

さて、白杖と盲導犬のどちらが良いのかということになりますが、それぞれに一長一短あるわけで、利用者の生活スタイルによって決まります。

盲導犬、白杖

私の個人的な見解ですが、透析患者を含めて腎臓病の患者さんは白杖の方が良いと思います。その理由は、腎臓病患者は健康な人に比べて免疫力が低いので、動物が原因の感染症にかかる恐れがあることと、盲導犬は協会からの貸し出しという形をとるので、日ごろの犬の世話を利用者が行わなければいけないからです。感染症の危険に加えて、盲導犬のブラッシングから排泄や食事の世話までを365日休みなく行うので、特に高齢の患者さんには体力的にキツいかもしれません。もちろん、盲導犬の具合が悪くなれば獣医さんに連れて行くのも利用者責任です。

一方、白杖はどうかというと、もちろん生き物ではないので日々の世話はいりません。しかし白杖をただ持って出かければ良いというものではなく、これも正しい使い方を習得しなければ事故につながります。
弱視でそこそこ視力が保たれているうちは、自己流で白杖を使っていても問題ないかもしれませんが、いよいよ目が見えづらくなってきたら、正規の歩行訓練を受けた方が良いでしょう。自治体ごとに中途失明者緊急生活訓練事業という福祉事業があり、その中で歩行訓練を受けられます。

さて、目が悪い者が一人で出歩く時に注意すべきこととしては自分自身の怪我や事故はもちろんですが、意図せず物や人にぶつかってしまい、相手の物を壊す・怪我をさせるということがあります。そんな場合に備えて、一人歩きする視覚障害者の多くは損害賠償責任保険に加入しています。
絶対に一人歩きはしないという人は入らなくても良いでしょうが、少しでもその可能性がある人は入っておいた方が良いと思います。


新型コロナウイルスの問題

ここからは新型コロナウイルスの問題についてお話しします。
2021年現在、世界中で猛威を振るっている新型コロナウイルスですが、7月には東京都に4回目の緊急事態宣言が発令され、この体験談が公開される直前には、感染および変異株の拡大をうけ緊急事態宣言の延長が発表されました。

透析患者の感染者数及び死者数も日に日に増えており、入院病床が足りなくなったり、コロナ病棟に医療従事者を取られ、通常の診療(透析業務)が不可能になった医療施設もあります。最近では変異株による透析施設でのクラスター発生も報じられました。
そんなコロナ禍の中、もともと情報障害である視覚障害者はやっぱり世の中の動きから取り残されてしまっています。

フィジカル・ディスタンス(ソーシャル・ディスタンス)

まず、他人との距離が取れません。相手との距離感などがわからないので、意図せずに近づいてしまったり、ぶつかってしまうことがあります。

また、弱視者は普段から物に目を近づけて見る癖がついてしまっているので、よく見ようとすればするほど、顔を近づけてしまうことがあります。
皆さんも透析室で、目が悪そうな患者さんが間違ってあなたに近づいてきたり、触れてしまっても、どうか怒らないであげてください。わざとじゃないですから…。

「濃厚接触」を避ける風潮

日常的に人や物に触れて情報を得る視覚障害者は、非接触ができません。
全盲者は視覚が使えないので、手で触らないことには物事を理解できませんし、弱視者でも視力だけでは情報として不十分なことがあるため、それを補うためにはどうしても触察が必要になります。もちろん、手指の消毒はこまめにしてはいますが、目が見えている人からすると、色々なものにベタベタと手で触れる行為は不潔に映るようですし、何より接触により自分が感染してしまうのも嫌なので、正直なところ戸惑っています。

「新しい生活様式」への適応

腎臓が悪い者としては、健常者に比べて感染リスクや致死率が高い分、気を付けて生活したいと思いつつも、目が悪いと人との距離の確保や非接触ができないため、やはり感染対策は難しいです。

また、最近は新型コロナウイルスの流行に押される形で、非接触アプリやキャッシュレス化の波が押し寄せてきています。しかし、基本的に手で触らないことには何もできない視覚障害者は、世の中からどんどん取り残されてしまっています。

さて、これまで視覚障害の概要、「情報の獲得」と「移動」に焦点をあてて実情を色々とお話ししましたが、次回はいよいよ「目を使わない透析生活」についてです。

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ミーナ

ミーナ
1990年9月生まれです。生まれつき、先天性緑内障という目の病を持っており、幼い頃から弱視で現在はほとんど見えていません。腎臓は昨年急な体調不良から緊急透析導入となり、今に至ります。原因は不明です。視覚と腎臓の重複障害ですが、日々楽しく生活しています。
趣味は読書で、4時間の透析中に1〜3冊くらいは読んでしまうかなりヘビーな読書家です。

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