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透析から移植へ 〜戦いは終わらない〜

【第10話】腎臓移植当日

2022.3.14

文:OZMA(オズマ)

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手術の準備

手術前日はよく眠れた。
窓から外をみると銀杏並木がきれいに色づいていた。いよいよ手術だと思い準備を始めた。
8時には準備を終えて手術室に向かわなければならない。その前にシャワーを浴び、弾性ストッキングを履き、妻と歩いて手術室に向かった。

北海道大学病院の手術室は17部屋もある。聞いたところによると、緊急の分娩のために空けておく手術室もあるが、フル稼働している。
エレベーターで地下に降りてまず人の多さに驚いた。コの字型に配置された椅子に手術患者が座っていくのだが、付き添いの方もいて、看護師はいったい何人いたのだろうか?とにかく数え切れない程だった。そのうち一人の看護師に促され妻と手術室に向かった。同じ部屋ではなく、隣の部屋のようである。

手順としてはこうだ。まず妻の腎臓を摘出して灌流液に入れ、私の元に運んできて移植する。後で妻の主治医に聞いた話だが、腎臓を良い状態で取り出すのには時間との勝負なんだそうだ。取り出した腎臓は動脈、静脈、尿管の3本をクリップで留めなければならない。腎臓に血液が回らなくなる時間をできるだけ短くし、早く灌流液に入れなければならない。
治療や手術、検査などの際に臓器や組織の洗浄・形態保持などに使用される液体。

先生曰く「クリップしてから1分30秒だったよ。今までで最短で取り出すことができた」と。最高の状態で移植腎が運ばれてきたらしい。そんなことは知る由もなかった。妻と主治医には感謝しかない。

普通、腎臓は右側に移植するそうだ。右側の方が腎臓の血管につながる動脈や静脈に近く、容易に手術が行えるようである。しかし私の場合、右側は大腸がんで上行結腸を取っているため癒着が心配だった。そのため今回は左側への移植になった。
手術方法等で異なるが、一般的に腎臓移植手術による傷跡は右側だと10cm程らしい。しかし左側の私は25cm程のスプーン型の傷である。やはり血管や尿管をつなぐ部分が深くにあったため、大きく切らないと届かなかったらしい。後で分かったことだが、手術時間は通常の手術よりかなり長く、10時間以上かかったそうだ。


術後1日目

病室に戻り、真っ暗な外を眺めていた。
男性の看護師が「今晩は私が担当です。よろしくお願いします」と挨拶してくれた。ふと、今晩は眠れるのかな?と思った。傷は痛くない。しかし全身から管が出ていて身動きが取れない。

しばらくして「尿は出ているな」「大丈夫ですね」と主治医たちの話し声が聞こえた。私も首を伸ばし自分の尿パックを見た。尿が順調に出ているのが確認できた。しかし尿の色は真っ赤。血尿である。

実際に手術当日に尿が出ない人もいる。その場合は透析も併用して自尿が出るのを待つらしい。患者さんによっては1か月間透析を併用した人もいる。
また、腎臓移植当日は補液を大量に入れる。私の場合は確か12L入れていたと記憶している。腎臓をできるだけ働かせるのだ。71kgで移植手術に入ったが、翌日の体重は77kgだった。6kgは補液で増加していることになる。

看護師は忙しい。一時間に一度静脈圧を測り、ドレーンから出ている浸出液を回収し、患者の要望にも応える。手術が10時間以上かかったためか仙骨部が痛く、何度も体位交換やドーナツ枕の入れ替え等をお願いし、対応してもらった。こっちも眠れないが看護師も寝ている暇がなかっただろう。

夜中の12時になると医師チームが来た。「尿は順調なのでこれで大丈夫です」と言い、ここでようやく医師チームは帰宅するようである。午前8時からの手術で16時間が経過している。以前にも思ったが、医師は体力なくしては成り立たないのだと、この時改めて実感した。

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OZMA(オズマ)

OZMA(オズマ)
1961年2月生まれ。
59歳。埼玉県所沢市出身、札幌市在住。
糖尿病性腎症で54歳に透析導入。2年2ヵ月後、妻から腎臓移植。
仕事は、外資系製薬会社に13年勤務、営業、管理薬剤師、開発、広報などを経て1998年より薬剤師として勤務。2001年に独立して薬局経営。現在、新しい薬局の開設準備中。

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