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食生活研究室

腎臓病・透析をしている方にも知っていただきたい、視覚障害と食について
【第1回】砂糖菓子が大好きで腎性貧血に!?
〜ミーナの偏食の話〜

2022.8.1

文:ミーナ

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皆さん少しご無沙汰しております。研究員のはなし(体験談)で連載体験談、「重複障害者からの福祉サービスへの願い」「透析と視覚障害」を執筆したミーナです。
今度は、視覚障害のある方の食に関するエピソードをこの「食生活研究室」で連載形式でお話しします。
主に視覚障害者の話が中心になりますが、腎臓に関する話も時折織り込む予定です。透析をしている方は腎性網膜症や糖尿病性網膜症などによって視力が低下する人が少なくありません。視覚障害のある人がどのような食問題に陥りやすいのか、またどのように対応していくのかについてもお伝えしますので、読んでいただけると嬉しいです。
初回は私、ミーナの偏食エピソードです。


甘いもの大好きで栄養不足に!

私は甘いものが大好きです。特に飴、ソフトキャンディ、キャラメル、チョコレート、金平糖、マシュマロ、グミといった砂糖が主な原材料となっているお菓子が大好きなのです。
お菓子に限らず、ジャムや練乳、はちみつなどもそのまま舐めたり、かき氷のシロップやカルピスも原液で飲んでしまうほどの極端な甘党で、これまで虫歯もたくさん作ってしまいました。

米や麺類、パンなどの炭水化物は味がはっきりしないため大嫌いです。砂糖菓子も炭水化物も同じ糖質なのにね。
そのため、ご飯にはふりかけをたっぷりとかけ、食パンには溢れるほどジャムを塗って食べないと気が済まない有様で、体験談「透析と視覚障害【第6回】目に頼らない透析の自己管理について その2」でお話ししたように、目が悪い人にありがちな、刺激を求めて調味料をドバドバかけて食べるような食生活を送っていました。

甘いものの食べ過ぎは血糖値が高くなるため、普段からあまりお腹が空かず食事があまり摂れないということもありました。これでは栄養バランスが偏ってしまいますね。


現在の甘いものとの付き合い方

現在の私は、相変わらず甘いものが大好きで食事は大嫌いですが、さすがに以前のように一日中飴やキャラメルを舐め続けて食事を摂らない…なんてことはしなくなりました。
たくさんの虫歯の治療に1年以上も歯医者に通わなければならなくなってしまったことがあり、お菓子の食べ方について歯医者さんにだいぶ指導されたことがきっかけです。

今は、甘いものは食後のデザートとして食べる程度で間食はしていません。どうしても、口さみしい時や何か食べたくなった時は、砂糖の入っていないキシリトールガムなどを口に入れるようにしています。
水分管理が必要な方で、喉が乾いたときに飴を舐める方がいるという話を聞いたことがありますが、私は虫歯を作りたくないので飴の代わりにシュガーレスのタブレットやガムなどにしています。糖尿病の低血糖対策などではやはり糖の含まれるものが良いでしょうから、そのあたりは自分の体の状態で決めてください。


視覚障害者の食事の実態

米やパンの食べ方に関しては、ふりかけなどをドバドバかけて食べていれば塩分過多になるので、主食とおかずを交互に食べるようにしています。
視覚障害者の中には、一つのお皿を空にしてから次のお皿に移るフルコースのような食べ方をする人がいます。これは、食べ残しの有無がわかりやすいのと、テーブルの上で食器を探す必要がなく、食べこぼしやお箸やスプーンを落としたりする確率が減るので、無意識のうちにやってしまっている人も多いのです。また中途視覚障害者の多くが、外食時にラーメンやカレー、チャーハン、丼物など、お皿が一つで済むものを食べたがる傾向にあります。これもやはり食べこぼしが気になるからだそうです。

しかし、このような食べ方の癖がついてしまうと、結局好きなおかずだけ食べてしまう偏食にもつながります。
食べ残しや食べこぼしなどが心配な方は、おかずをワンプレートにしたり、お盆を使ったり、深めのお皿を使うのがおすすめです。弱視者であれば、自分が見やすい色の食器を使うなどの工夫で、これらの問題は解消できるでしょう。

テーブルと反対の色やおかずが映える色の食器を選ぶ:お米・おかずと皿とのコントラストが強い方が見やすい

見やすい色を選ぶポイントとしては、テーブルと反対の色やおかずが映える色の食器を選ぶと良いです。たとえば、ご飯茶碗は黒や濃い色のうつわによそえばお米の白が生えるので、きれいに食べられるでしょう。
逆に、白いお皿にかまぼこやチーズなどのような同系色の食べ物をよそうと見えにくいため、箸でうまく取れませんし、お皿にどれくらい残っているのかがわからず間違えて食器を下げてしまう可能性が高くなります。見やすい色=あなたの好きな色ではないことに注意が必要です。


偏食が招いた腎性貧血

透析導入したばかりの頃、飴の食べ過ぎで腎性貧血を悪化させてしまったことがあります。この頃には虫歯の治療でだいぶ懲りてもいたので、さすがに一日中飴を食べていることはなくなったものの、気が付くと飴を口に含んでいました。

飴を舐めると血糖値が上昇し空腹を感じないため食事を摂れず、栄養不良となってしまったのです。さらに、透析でアルブミンもある程度抜けることで蛋白質が不足してしまい、貧血がひどくなったことがありました。

その頃の定期血液検査では、随時血糖値は120~130mg/dL台と高めなのに、血清アルブミン値は3g/dL前後と低め(3.8g/dL以下は低栄養 )、血清クレアチニンは10mg/dLくらいあっても、尿素窒素は40~50mg/dL程度と透析患者にしては低めで推移しており、いかに蛋白質が足りてないかがわかる結果になっていました。
貧血の値についても、血液中に赤血球が占める割合を指すヘマトクリットが25%前後(基準値は成人男性で40~50%、成人女性で34~45% )、ヘモグロビンは常にひと桁(60歳以下の場合で、男性13.5g/dL以下、女性11.5g/dL以下で腎性貧血と診断 )でフラフラでした。
透析室の先生からも「飴じゃなくて、ちゃんとご飯を食べなさい」と言われてしまいました。

また、貧血だけでなく、その他の尿毒症症状や長期的な合併症予防のための十分な透析を行うためにも、まずは偏食を治すことが大切だと、透析室職員ほぼ全員から言われました。
腎臓病の食事療法というと、一般的には塩分やカリウムやリンの制限ですが、私の場合はそれ以前の問題で、偏食を治すことからだったのです。

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ミーナ

ミーナ
1990年9月生まれです。生まれつき、先天性緑内障という目の病を持っており、幼い頃から弱視で現在はほとんど見えていません。腎臓は2017年に急な体調不良から緊急透析導入となり、今に至ります。原因は不明です。視覚と腎臓の重複障害ですが、日々楽しく生活しています。
趣味は読書で、4時間の透析中に1〜3冊くらいは読んでしまうかなりヘビーな読書家です。

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