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重複障害と透析

【第16話】おうちの方にやってもらってください
— その時、患者と家族が抱えるもの

2026.8.31

文:ミーナ

緑の文字の用語をクリックすると用語解説ページに移動するよ。

尿検査や日々の尿量測定は、腎臓病の患者さんにとって、腎臓の機能を把握するための重要な指標であり、日常的に何度も行う身近なものですよね。

今回は私の友人で、全盲の小百合さん(仮名)の尿量測定にまつわるお話です。

人とは違う外見イメージ


どうやって尿量を量る?

小百合さんは40代で、多発性嚢胞腎の保存期の患者さんです。目は私と同じ先天性緑内障で、小学生の頃に失明しています。小百合さんはある日、自宅で尿量測定をすることになりました。

一般的には、目盛り付きの検尿カップなどに尿を採って量を記録したり、蓄尿検査であれば専用の容器に尿をためて外来に持っていくことが多いかと思いますが、目が見えない小百合さんにはそれができません。

同居のお母さんに目盛りを見てもらうという方法もありますが、小百合さんは成人ですし、いくらお母さんでもトイレの場面を見られるのは恥ずかしかったそうです。もちろん、障害があっても独立した一人の人間ですから、いつもお母さんと一緒に行動しているわけではありません。一人で出かけることもあれば、逆にお母さんが小百合さんを家に一人残して出かけることもあります。

困った小百合さんは、測定結果を音声で読み上げてくれる機能を持つ「音声体重計」を使うことにしました。トイレの前後で体重計に乗れば、体重差からおおよその尿量を知ることができるからです。

こうして小百合さんは、なんとか一人で対応することができました。


「おうちの方」以外の選択肢をともに探したい

治療や検査などにおいて、障害者や高齢者が自分で行わなければならない作業がある場合、医師や看護師は大抵「おうちの方にやってもらってください」と言います。しかし、家族構成や環境によっては、「おうちの方」にいつも協力してもらえるとは限りません。

まず、一人暮らしの人は言わずもがなですね。また一人暮らしでなくても、日本の高齢化や障害の重度・重複化を背景に、同居の家族が高齢や病気のために患者さんの介助ができない家庭も考えられます。

特に腎臓病のような慢性疾患では、治療が長期にわたり、自己管理が大切になってきます。しかし、本人の力だけではどうしてもセルフケアが難しい場面も出てくるでしょう。その際、家族に協力してもらうというのも一つの方法ですが、家庭環境や治療内容によっては家族の負担が大きくなってしまうこともあります。また、いざ家族に何かあった場合なども想定して、他の手段・選択肢も併せて考えておく必要があると思います。

だからこそ、医療従事者の方々には、患者一人ひとりの生活環境や障害の有無に寄り添っていただけたらと思います。小百合さんの音声体重計のように、「どうすれば本人が無理なく実施できるか」を、さまざまな選択肢の中から一緒に考えていくパートナーであってもらえると心強いです。

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ミーナ

ミーナ
1990年9月生まれです。生まれつき、先天性緑内障という目の病を持っており、幼い頃から弱視で現在はほとんど見えていません。腎臓は2017年に急な体調不良から緊急透析導入となり、今に至ります。原因は不明です。視覚と腎臓の重複障害ですが、日々楽しく生活しています。
趣味は読書で、4時間の透析中に1〜3冊くらいは読んでしまうかなりヘビーな読書家です。

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