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透析患者と一緒に生きるご家族の方へ
〜透析導入に際して知っていただきたいこと
【後編】

2020.1.20

文:りんりん

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透析導入間近の患者さんのご家族の方に向けた連載記事の最終回です。透析に向き合い、付き合っていくために大切な体調管理や、心に寄り添うための心構えです。


日常生活で気をつけたいこと

食事と水分の制限

腎臓の機能が低下すると、余分な水分や老廃物を排出できず体の中に溜まってしまいます。水分やカリウムは過剰に溜まると生命に危険を及ぼしますし、すぐさま生命の危険とならずとも過剰な状態が長く続くと、合併症を引き起こすものもあります。

合併症を防ぎ長く元気でいるために、塩分を控えつつ、リンやカリウムを抑えるための食材を選択したり、調理法・調味料の使い方を工夫するとよいでしょう。

服薬管理

透析になるとたくさんのお薬が処方されるかも知れません。それらは腎臓の働きに比べ不完全な透析を補助するものですので、忘れずに指示通りに飲むことが大切です。万一飲み忘れた時に、気付いた時に飲む方が良いのか、または忘れたらその時はスキップする方が良いのかはそれぞれの薬の効能によっても変わりますので、薬の意味と共に飲み方も把握しておくとより安心です。また、他科受診・処方の際の重要な情報となりますので、「お薬手帳を」持つのもおすすめです。

シャント管理

シャント血液透析をするために大切な命綱であり相棒です。この血管が狭くなったり(狭窄)詰まったり(閉塞)感染したりすると通常の透析ができなくなり、拡張手術や再建手術、入院が必要となる場合があります。
シャントトラブルを防ぐためには、日常的にシャントをよく観察し、清潔を保ち圧迫を避けることを心がけましょう。車検のように定期的に専門家(医)に診てもらうことも大切です。

嗜好品(お酒やたばこ)との付き合い

飲水制限がありますので、お酒を嗜む方の場合はあくまでも許容範囲の量で楽しむようにしましょう。また、アルコールの摂取により、血管は拡張し血圧が下がり心拍数は上がりますので、透析前後には避けるようにします。たばこは禁煙することをお勧めします。


こころを支えるということ

体調の波を知る

健康な人では24時間365日働く腎臓が緩やかにコントロールしているものを、週に数回数時間で代替するのが血液透析です。透析の際に大きな変化が身体に起こることになります。透析前には体が重くだるさを感じることや、アンモニア臭の自覚や味覚異常などの不快な症状を感じることもあります。透析直後には血圧が下がり倦怠感を訴える方が多くいます。
透析を導入してからの体調や病状のさまざま変化には、皆さん頭を悩ませています。そんな事例を見て知っておくのも良いかもしれません。

透析間の体重の増え(=塩分・水分の摂取)を抑えることや、食事の内容に気をつけることである程度はこのような不快な症状は防げます。しかし、個人差はあれ透析ではどうしても身体に負担を感じるものです。日常の体調の波は当然にあるものと捉え、通常の透析スケジュールと共に表れる波を知ることが大切です。ご家族も「わかっていてくれる」という安心感が患者には大きな支えとなります。

患者が導入とともに直面する「喪失感」

言葉や態度に表すか否かは人それぞれですが、患者さんは透析導入とともに喪失感を感じています。健康や時間や自由といった形の無いものから、人によっては役職、経済力、あるいは仕事そのもの、また人間関係など、大きな変化に直面し不安を抱え、実際に失うものも場合によってはあるかも知れません。
そんな時にあなたが変わらずそばに居続けることが、きっと患者さんが頑張って生きることの理由になるでしょう。


最後に ― 一緒に生きるあなたへ

腎臓の病は治ることはありません。再生医療などの進歩もめざましいとはいえ、移植を除いて根本的治療法はないのが現状です。それでも、透析とうまく付き合うことで元気に長く生きることができます。
透析の導入は、生涯続く長い旅の始まりです。心折れずにずっと歩み続けるためには、頑張り過ぎず、無理をしないことが大切です。それはともに生きるあなたも同じこと。透析は戦うものではなく付き合うものなのです。

今日を生きている透析患者さんのことをちょっと頑張って知り、今までと変わらず接することが、患者さんの一番の励みになるでしょう。

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りんりん

りんりん
浪花に棲息するフツーのOL(死語)。頻繁な海外往来で高血圧発症、ドクターストップで転職もサービス残業200時間/月とかの無茶が祟り死にかけて、有無を言わせず2008年透析導入に。
現在は2日に1度、夜通し機械に繋がれ穢れた血を浄化しつつ、デイタイムはお仕事にオフタイムはライヴや旅行に飛び回っています。
今日は今日限り。濃密な時間を生きていたい。 更なる自由を求めHHD始めました。

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