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CKDと診断されたら ― CKDと歩むくらしの準備
2026.1.26
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腎臓は、早めの気づきとケアで守ることができます
慢性腎臓病(CKD)は、決して珍しい病気ではありません。日本では成人の約5人に1人がCKDと推定されています。 しかし、早期に気づき、適切に向き合うことで進行を確実に遅らせることができる病気でもあります。
腎臓は「沈黙の臓器」と呼ばれ、気づかないうちに進行しやすい側面もあります。しかしその一方で、日々の暮らしの工夫と適切な通院によって、その機能を長く保つことは十分に可能です。たとえCKDと診断されても、早めに情報を集め、相談できる場所を整えておくことで、安心して次の一歩を踏み出すことができます。
必要以上に怖がらず、「焦らず、慌てず、放置せず」の姿勢が大切です。
一度に全部を知ろうとしなくて大丈夫。
まずは、もくじの気になる項目から、少しずつ覗いてみてくださいね。
もくじ
- 腎臓は、早めの気づきとケアで守ることができます
- ステップ1:自分の病状を数値で把握する
- ステップ2:今日から始める「3つの生活習慣」
- ①食事は「制限」より「控えめ」からスタート
- ②血圧を整える:腎臓の最強の味方
- ③軽い運動を習慣にする:できる範囲でOK
- ステップ3:腎臓病との長期的なおつきあいに必要な知識や支援
- ①情報の集め方:大量の情報に惑わされない
- ②情報の扱い方:不安を増幅させない心構え
- ③通院を続けるために:自分の体に責任をもつ
- ④スムーズな受診:主治医と話すためのコツ
- ⑤社会のサポート(制度やサービス)を知っておく
- ⑥こころの健康を保つ方法を準備しておく
- 最後に:よくある誤解と3つの合言葉
ステップ1
自分の病状を数値で把握する
CKDの理解は、まず2つの数字と尿蛋白を知ることから始まります。
ご家族や周囲の方もこれを理解しておくと、今後のくらしと治療、社会生活の調整がスムーズです。
- eGFR(腎機能の指標)
- 腎臓がどれくらい働いているかを示す数字です。
- CKDのステージ(病期)(G1〜G5 × A1〜A3)
- この2つの数字を組み合わせたものが、あなたの現在地(今の状態)です。
- 尿蛋白、尿アルブミン/クレアチニン比(UACR※)
- 腎臓のダメージの大きさを示します。
数字そのものよりも「どのくらいのペースで変化しているか(経過)」を見ることが大切です。
例えば、診察後に家族で検査結果を見返し、「今日はこうだったね」「前回と比べてどう?」などと一緒に確認するだけでも、不安は大きく和らぎます。
※CKDの診断および重症度分類において、腎臓の障害の程度を示す極めて重要な指標ですが、日本では依然として保険適用が限定的です。日本腎臓学会は、CKDの早期発見・早期治療の重要性を踏まえ、UACR検査の普及を強く推進しています。
ステップ2
今日から始める「3つの生活習慣」
CKDと歩む日々は、「くらしの整え方」が腎臓を守れるかどうかのカギになります。ここでは、医療行為ではなく、毎日できる3つの要点に絞ってお伝えします。
①食事は「制限」より「控えめ」からスタート
初期段階からいきなり厳しい制限をする必要はありません。
まずは次の3点だけ意識してみてください。
- 塩分を控えめに(外食、汁物や加工食品に注意)
- たんぱく質は「質と量」を適度に意識
- 水分は自己判断で増減しない
最近では、食品の選び方など、中食やコンビニ食でもできる、ちょっとした減塩の工夫に関する情報もありますね。食事は毎日のことなので、完璧を目指して自分に厳しくなりすぎず、できることから、小さな工夫を少しずつ重ねていくことが継続のコツです。
こちらもどうぞ(CKDシート)
②血圧を整える:腎臓の最強の味方
腎臓を長持ちさせるには、血圧管理が欠かせません。
- 自宅で血圧を「まずは1週間」「朝だけ測る」など、達成しやすい小さい目標から始めて習慣化する
- 血糖管理が必要な人は食後の血糖変動に注意
- 緊張やストレスが血圧に影響することも理解しておく
血圧計をいつも同じ場所に置いておく、紙のノートでもスマートフォンのアプリでも、自分に合った記録方法を見つけるなどで「面倒さ」を減らすと、継続しやすくなります。
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③軽い運動を習慣にする:できる範囲でOK
基本的に腎臓病でも運動は推奨されています。病気の進行度、合併症の有無、ほかの病気の治療状況などによっては注意が必要な場合がありますので、医師に相談の上、無理のない範囲で自分に合った運動を始めましょう。
手始めにこんな運動はどうでしょう
- 歩く(ウォーキング・通勤での歩数UP)
- 下半身の軽い筋トレ(椅子スクワット、かかと上げ など)
「毎日やらなければ」「決めた運動は絶対にやらなければ」と自分を追い込む必要はありません。
軽い散歩を取り入れることから始めるなどでも、運動は自然にくらしに溶け込みます。
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ステップ3
腎臓病との長期的なおつきあいに必要な知識や支援
CKDは、長い時間をかけてつきあう病気です。
「長距離の旅路」を想定し、支えとなる知識や制度を早めに理解しておくと安心です。
①情報の集め方:大量の情報に惑わされない
- 基本的に、主治医をはじめとする医療者が最も大切な情報源。その次に公的機関・学会・医療機関の情報を優先する
- 「これだけで大丈夫!」「すぐ治る」などの極端な言葉や、「最悪」「危険」などの不安を増幅させる言葉に振り回されない
- SNSやブログ、体験談は個人のケースにすぎないため、参考に留める
何が正しい情報か、信頼できる情報がわからなくなったら、まずは主治医やかかりつけ医、つながりのある医療者に聞いてみましょう。
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②情報の扱い方:不安を増幅させない心構え
- 数値やデータは、背景情報と一緒に理解する。例えば、「副作用は10%の確率」は「10人に1人は危険」ではなく、その対象はどんな層なのか、どんな副作用なのかを理解して、過剰に不安がらない
- 不確定な情報は「まだわからない」と受け止め、確定情報が出るまで待つ、という冷静な向き合い方をする
- 治療法の進歩や助けになる支援制度など、ポジティブな側面に目を向けることで、不安を和らげる
情報を集めて上手に使うコツは、事実を冷静に受け止め、自分に必要な部分を柔軟に取り入れながら、安心につながる視点を忘れないことです。
③通院を続けるために:自分の体に責任をもつ
CKDと診断されたら、腎臓の変化を診るために1年や半年に1回程度の通院が始まります。
なぜ定期的に通院するのでしょうか?
- 適切な管理で、日常生活をなるべく快適に送るため
- 腎臓の機能の変化をいち早く捉えるため
- 治療内容の調整や、生活習慣の見直しにつなげるため
- さまざまな合併症の予防と管理のため
定期的な通院は、あなたの体と未来を守るための約束です。多忙な日々の中でも、ご自身の健康を最優先することがあなたの役割です。
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④スムーズな受診:主治医と話すためのコツ
診察は「短時間」で「情報量が多い」ため、伝えたいことが伝えられず、質問したかったことも聞けなかったり、聞き逃しが起こりがちです。
メモを準備して持参するとスムーズです
- 質問リストの作成:「聞きたいこと」を3つ程度に絞って箇条書きにしておく
- 変化の記録:診察直前の数日間や前回からの期間の変化をまとめておく
こんなことも覚えておいてください
- あなたと医療者に上下関係はなく、対等な関係
- あなたと医療者の共通の目的は、あなたが生きたいように生きられること
医師や看護師、栄養士などの医療者は、共通の目的を持ったあなたのチームメンバーです。遠慮せず、そしてしっかりとコミュニケーションの準備を整えて、信頼関係を築きましょう。
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⑤社会のサポート(制度やサービス)を知っておく
制度や支援は、困ってから探すと心身に余裕がなくなり、必要な情報にたどり着くのがとても難しくなります。今すぐ必要でなくても、早めにざっくりと把握しておくことが、いざというときのこころの支えになります。
- 高額療養費制度
- 医療費控除
- 仕事と治療の両立支援
- 栄養指導(保険適用)
- 運動療法(腎臓リハビリテーション)
- 必要に応じた他科受診(心臓・糖尿病など)
- 腎代替療法(透析・移植)に関する基礎知識
そして、なによりも大切なのは、制度や治療のことを相談できる人の存在です。ご家族や友人に限らず、患者会やオンラインコミュニティ、地域の相談支援窓口など、複数の相談先があることを覚えておいてください。
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⑥こころの健康を保つ方法を準備しておく
CKDをもっていると、病気の初期の段階からでも、うつ病のリスクがあると言われています。そして、治療、生活や仕事などさまざまな変化でいっぱいいっぱいだと、こころの不調を見落としてしまいがちです。
定期的にこころの状態をチェックして、体と同じように適切なセルフケアや治療を施すことが大切です。また、こころの不調に対応できなくても、「自分のこころの現在地」がわかるだけで安心することもあります。
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最後に:よくある誤解と3つの合言葉
最後に、CKDとつきあう上で知っておきたい「よくある誤解」と、「合言葉」をまとめました。
よくある誤解
- すぐに厳しい食事制限が必要
- →まずは「塩分を少し控える」といった、ゆるやかな習慣の見直しから始まります。無理な制限ではなく、継続できる工夫を主治医と相談しましょう。
- 水をたくさん飲めば腎臓に良い
- →健康な人には良くても、腎臓の状態によっては過剰な水分が心臓や腎臓の負担になる場合があります。自分に合う水分量は医師への確認が安心です。
- 運動すると腎臓が悪化する
- →以前は安静と言われましたが、現在は「適度な運動は腎臓を守る」ことがわかっています。心地よい範囲のウォーキングなどはむしろ推奨されます。
- CKDと診断されたら、すぐに透析になる
- →決してそうではありません。早期ケアで進行を大幅に遅らせ、透析を回避できる方はたくさんいます。「今の数値を維持すること」が立派な目標です。
- 市販薬やサプリメントは安全
- →痛み止めやサプリメントの中には、腎臓に大きな負担をかけるものがあります。自己判断で飲み始めず、必ず主治医や薬剤師に相談する習慣をつけましょう。
3つの合言葉
- ①自分の現在地を知る(eGFR、CKDステージ)
- eGFRやステージを把握し、今の状況を冷静に見つめましょう。
- ②血圧を整える(今日からできる、一番の味方)
- 血圧管理は、あなたの腎臓を支える最強の味方です。
- ③正しく恐れ、淡々と日常を慈しむ
- 過度に不安がらず、正しい知識を携えて、穏やかな毎日を積み重ねていきましょう。
CKDと歩む日々は、「焦らず、慌てず」でも「放置せず」です。
ご本人、ご家族、周囲の人が“できること”をゆったり続けていくことが、腎臓を守るいちばん確実な方法です。
この記事でご紹介している「CKDシート」は、透析前のステージにいる腎臓病をもつ方が自分らしい生活を送るための、知恵と工夫がぎゅっと詰まったシートです。ファイルに綴じて「自分だけの教科書」をつくったり、ポスターとして壁に貼ったり。あなたのくらしに合わせた自由なスタイルで活用できます。
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